万一の場合の死亡保障はいくら必要なのでしょうか? そして、その死亡保障を得るためにはどんな保険に入るべきなのでしょうか?
いくらという判断は難しそうですし、保険についても、終身がいいとか掛け捨ての定期がいいとか、違った意見があって正直よくわからないですよね。
実は死亡保障というのは、誰に対しても共通しておすすめできる保険や保障額があるわけではありません。家族構成や死亡保障が必要な理由などにより、一人ひとり適した保険と必要額が違っているのです。
ちょっと面倒な話になってきたと思われるかもしれませんが、そのことをよく理解せずに生命保険に入ると、いざというときに死亡保障が足りなかったり、保障が大きすぎて無駄に保険料を払い続けてしまったりといった失敗をすることがあります。
ここでは、そんな失敗を防ぐために必要な知識として、死亡保障の考え方と活用すべき保険についてわかりやすくまとめています。ざっと目を通すだけで、自分にあった生命保険の入り方がわかりますよ。
目次
1. 死亡保障とは
死亡保障は、生命保険(死亡保険)において被保険者が死亡した場合に死亡保険金が支払われる保障です。したがって、死亡した本人は保険金を受け取れませんので、自分が死亡したときに家族にお金を残してあげるための保障といえます。
具体的に死亡保障として考えなければならないお金の項目としては、お葬式代、お墓代、家族の生活費、こどもの教育費、住宅ローンほか借入金の返済費用、その他相続人に残したい金額などが考えられます。
2.死亡保障はいくら必要?
まずは死亡保障がどれくらい必要なのかを考えてみましょう。
その人にとって必要な死亡保障の金額のことを必要保障額といいます。必要保障額は、年齢や家族構成、人生のなかでどのようなライフステージにあるかなどによって違ってきます。
必要保障額は、厳密には細かい計算式がありますが、ここではおおまかな目安をお伝えしたいと思います。
2-1. 独身者は300~500万円
独身で一人暮らしをしていて扶養家族がいない場合は、お金を残してあげなければならない人はいません。したがって基本的には自分のお葬式代やお墓代が残せればよいので300~500万円くらいの死亡保障があればよいでしょう。
扶養家族がいる場合や親に少しはお金を残してあげたいという場合は、その分の保障を上乗せするとよいでしょう。
2-2. 夫婦のみ(就学中のこども無し)は1,000万~2,000万円
若い夫婦でまだこどもがいない場合は、死後の整理資金と配偶者が新しい生活になれるまでの補助資金として1,000万円程度の死亡保障があればよいでしょう。
また、こどもがいない、または既に独立しているという中高年の夫婦で、専業主婦の妻があらためて働きに出るのが難しそうな場合は、2,000万円くらいの保障を考えるとよいでしょう。
2-3.夫婦+こども(就学中)は計算が必要!
小さなこどもがいる夫婦の場合で特に世帯主の人であれば、残される家族のためにかなり大きな死亡保障が必要となります。
たとえば、こども一人を育てれば教育費だけでも1,000万円はかかるといわれています。残された妻が働けるのか? どの程度収入を得られるか? などによっても違ってきますが、こどもが小さければ、ざっと3,000~4,000万円くらいは必要になりそうです。
ただし、こどもが小学校、中学校、高校と成長していくにつれて必要な死亡保障も少なくなっていきます。このような変化への対応のためにも、やはり詳細な死亡保障額には計算が必要となります。
ちなみに、下記のような家族を想定して夫が死亡した場合の必要保障額をざっと計算してみると、約5,000万円くらいになります。
- [家族構成] Aさん(30歳)、妻(28歳)、長男(3歳)
- [生活費]月30万円
⇒ 死亡保障額(概算) 約5,000万円
※必要保障額の計算方法について詳しくはこちらをご参照ください。
→ 「すぐわかる!必要保障額の目安と簡単な計算方法」
3. 死亡保障が必要なときに加入すべき保険は大きく2種類
死亡保障を確保するために入る生命保険には、終身保険と定期保険があります。それぞれどんな保険であるのかを大まかにみていきましょう。
3-1. 一生涯の死亡保障を用意できる終身保険
家族にお金を残すための保険として、まずは終身保険があります。
3-1-1. 死後の整理資金や相続対策に!
終身保険は保険期間が一生涯続くので、必ず保険金を残すことができますが、その分保険料は割高になります。
したがって終身保険は、死亡保障のなかでも死亡するタイミングに関係なく、これだけは必ず残しておきたいという金額を確保するのに適しています。
具体的には、自分のお葬式代・お墓代を残すために使われることが多いです。また、相続対策として特定の人に確実にお金を残したいときや相続税を軽減したいときに使うこともできます。
3-1-2.おすすめの終身保険の種類
お葬式代やお墓代などの死後の整理資金を残すために終身保険に入りたいと思ったとき、実は終身保険にはいくつかの種類があります。ただし、その種類は終身保険の貯蓄性にかかわる違いが大きいため、死亡保障を目的として加入する場合は、同じ保険金を得るための保険料ができるだけ安い保険がよいということになります。
そうなると、将来確保できる保険金が安定していて最も保険料が安いのは変額終身保険となります。変額終身保険は「変額」という名称からリスクがあるようなイメージがありますが、死亡保険金は契約した保険金額が最低保証されるため、死亡保障目的の場合は基本的に損するリスクはありません。保険料が割安なお得な保険といえます。
次に安いのが低解約返戻金型終身保険で、基本的にはこの2種類がおすすめの終身保険となります。
最近、貯蓄性が高いといって勧められることのある外貨立て終身保険は、為替レートによっては最も保険料が割安になる場合もありますが、円ベースの保険料が増減したり受け取る死亡保険金も増減したりして安定性に欠ける部分があるため、死亡保障目的としてはあまりおすすめできません。
※終身保険について詳しくはこちらをご覧ください。
→ 「終身保険とは?|よい保険に入るための終身保険の基礎知識」
3-2. 掛け捨てで大きな死亡保障を用意できる定期保険
家族にお金を残すためのもう一つの保険として、定期保険があります。
3-2-1. 残された家族の生活費やこどもの教育費に!
定期保険は保険期間が決まっていて保障に終わりがあります。保険期間が終わっても生きていた場合は保険金を受け取れず、支払った保険料がすべて無駄になったような印象がするため、掛け捨ての保険といわれます。しかし、保険料は保険期間中の保障を受けるための代金であり、無駄になったわけでも捨てたわけでもありません。
また、必ず保険金の支払いが発生する終身保険と違い保険料が割安になるため、一定期間大きな死亡保障が必要なときに適した保険といえます。
具体的には、残された家族の生活費やこどもの教育費などを残すために使われることが多いです。
3-2-2. おすすめの定期保険の種類
万一の場合の家族の生活保障として定期保険に入りたいと思っても、定期保険にはいくつかの種類があります。定期保険の種類の違いは、保険期間中の保障額の変化の仕方によるため、自分に必要な保障額を効率的にカバーできて保険料が安い保険がよいということになります。
そうなると、保険金を分割して受け取れて保険料も安い収入保障保険が一番おすすめということになります。また、逓減(ていげん)定期保険も効率的でよい保険といえます。どちらも年々保険金額が減っていくタイプの保険です。
ただし、これらの保険は年ごとの保険金額の減少の仕方があらかじめ決まっていて、基本的には一定となっています。たとえば、こどもが2人以上いて、しかも年が離れている場合などは、これらの保険の保険金の下がり方と実際に必要な死亡保障額の下がり方が一致しないこともあり、そのようなときには、通常の定期保険を使ったり、複数の種類の保険を組み合わせるなどの工夫が必要となります。
※定期保険について詳しくはこちらをご覧ください。
→ 「定期保険とは?|よい保険に入るための定期保険の基礎知識」
4. まとめ:死亡保障の目的にあわせて死亡保険を選ぶ
死亡保障を確保するための保険としては、大きく終身保険と定期保険の2つがあります。
これらの保険は、それぞれに特徴がありメリット・デメリットもありますので、どんな目的のために死亡保障が必要なのか、死後のどんなお金の需要に備えたいのかによって、どちらの保険を選んだらよいかは変わってきます。
そういった自分自身の死亡保障のニーズをしっかりと整理して、生命保険(死亡保険)を選ぶようにしましょう。
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