貯蓄は保険でやっているといった人の話を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか。
そもそも「積立型保険」とは何か、保険で貯蓄がうまくいくのか、メリットやデメリットはどうなのか?などをお伝えしたいと思います。
この記事は、ほけんペディア®の許可を得たうえで転載した記事となります。
■元記事:https://hokenpedia.itcstg.jp/life/seikatsu-tsumitategata/
目次
「積立型保険」って何?
まず、積立型保険といった内容で一番最初に思い浮かぶのが養老保険でしょうか。
いわゆる生死混合型と言われる保険ですが、この保険は万が一に何かあった時の死亡保障と無事満期まで生存した場合の満期金がセットになっているタイプです。
また身近よく聞く学資保険などもその一つです。
更に最近は特に貯蓄性に重点を置いて解約返戻金を一定期間終了後高くしている終身保険などもこの部類に入ってくるでしょう。
ただいずれにしても保険の性質上保障が有るため、その分の費用は貯蓄部分とは別途徴収されていることは知っておいてください。
保障と貯蓄部分のどちらにウェイトが置かれているかによって積立効果が異なること、その上での選択が必要となってきます。
同じ積み立てタイプでも年金保険のように死亡保障が殆どない(ゼロではありません。)タイプは貯蓄に回る部分が大きいので更に積立効果を期待できると言ってよいでしょう。
しかしながら積立部分は多分に市場金利の影響を受けるので、昨今の積立タイプの保険も例外なく満期金や解約返戻金は一昔前ほどの水準ではありません。
そのため近年は上述の同じ貯蓄型でも、変額保険のように積立部分を特別勘定で運用するタイプも少しずつ選択されてきているようです。
掛け捨ての保険との違い
俗によく言われる掛け捨て型保険との違いですが、払い込み保険料の保障へのウェイトが大きく、期間満了時には養老保険のような満期保険金がない点が大きな違いです。
従って、積立型保険と同程度の保険料であれば、保険金額はこちらの方がずっと高くなります。
掛け捨て型と言われる生命保険、例えば定期保険と言われる保険などがこれにあたります。
ただし、掛け捨て型といわれるタイプの保険でも保障期間が長期になるものなどは途中解約の場合にかなりの金額の解約返戻金が戻ってくるものもあります。
これは責任準備金と言って、簡単に言うと、将来の保険金支払いなどの債務履行を確実に行うために積み立てている準備金があります。
保険期間が長期の保険の途中解約の場合は、この責任準備金の部分がいわゆる掛け捨て型といわれる保険種類の場合でも解約返戻金として戻ってくる場合があります。
(満期まで行けば掛け捨てですが、途中解約の場合解約返戻金のあるタイプもあるので俗に言われる掛け捨ての保険という呼び方にまとめるのは少し変ですね。)
ただ昨今は長期の定期保険でも途中解約の場合、全く解約返戻金の無いパターンもありますので、その点は商品内容をしっかり確認しておいて下さい。
ちなみに、かつては積立型商品と掛け捨て型商品として対比されていましたが、最近は貯蓄性商品と保障性商品としての対比が多いようになりました。この点についてはまたの機会にお伝えできればと思います。
積立型保険で貯蓄がうまくいく?
保険を活用した積立を選択するポイントとして、強制貯蓄の意味合いが大きいと考えます。
銀行などへの貯蓄より流動性は低く、また使う前に貯める事が自動的に発生することが一つの魅力です。
貯蓄の妨げになる部分が人の心構えであることは、既に皆さんもご理解いただけると思いますが(私もそうですが、目の前に欲しいものがある場合使えるお金があると、ついつい使ってしまうことがあります。)定期的に貯蓄・積み立てを行う場合この気持ちを律することは結構大変です。
更に積立を行う場合に重要な点は、目標額、使うべきターゲット時期(学資などをイメージされると理解しやすいですね。)をきっちり設定する事が大切ですが、保険期間や解約返戻金のピーク時期などを其処に合わすことにより、更に計画的な貯蓄を達成することが可能になります。
昨今ライフプランを作成し、生活設計をより計画的にすることにより、夢や目標を達成しようとされている方が増えてきましたが、その方々は先の資金計画の達成のために積立型保険を活用されている場合が多いのも頷けます。
もちろんメリットばかりではなく、付随するデメリットも派生するので、十分な検討も必要となります。その点はこの後に記載してまいります。
積立型保険のメリット・デメリット
メリット、デメリットについてこれから記載していこうと思いますが、それぞれ立ち位置によってメリットであるものがデメリットになったり、逆にデメリットと感じるものが考え方によってはメリットになったりと、その個性が双方につながる場合がある事を先にご理解いただいた上でお読みいただければと存じます。
メリット
まずはメリットですが、これは先にも述べましたが、計画的な積立自体が苦手な方にとって、自動的に保険料として引き去られる事は大きなメリットと言えます。
もちろん保険以外でも勤務先から給与天引きされる財形貯蓄なども同様にメリットのある方法かと思います。
また保険の場合短期での解約は元本割れなどのリスクもあるため、心へのブレーキとして当初の計画時期までキャッシュアウトを抑える役目も果たしてくれるでしょう。
老後の生活のための資金準備といった少し先の、ただ必ずやってくるリスクのための貯蓄にはかなり大きなメリットになると思います。
長期間での積み立てをする場合、銀行に預けておくより積み立て型保険を活用するほうが高い運用効果を得られる場合があります。(予定利率が銀行金利より高い)
税制の優遇効果(生命保険料控除、一時所得控除)があります。
ただし以前とは異なり、最近は低金利の影響を受けて大きな積立効果が得られない状況下、積立型保険でも運用による成果が異なる変額タイプの保険を採用される方が増えてきております。
これはこれでメリット、デメリットについてより詳しく説明が必要になるためここでは詳細の説明は控えさて頂き、別の機会にご説明させていただきます。
デメリット
保険を使っての積立のデメリットは、流動性が劣る事、いざ使いたいときにすぐに引き出せない点、また途中で解約した場合、元本割れのリスクがある点などが大きいデメリットです。
またすべての保険料が積立部分に回るのではなく、保障部分にも回るので、その点も純粋な貯蓄と比較すればデメリットになるかと思います。
昨今積立型保険の代名詞のような学資保険ですら、元本を割り込んでしまったりする場合があることなども考慮に入れておかなくてはいけないでしょう。
また終身保険のように死亡保障と合わせて加入した場合、解約された場合は死亡保障もなくなってしまうことも考えておかなくてはなりません。
積立型保険に向いている人
ここまでお伝えしてきたことからもご理解いただけると思いますが、まずは月々コツコツと貯蓄をすることが苦手な方は、積立型保険を活用することをお勧めします。
また貯蓄したお金をついつい引き出して使ってしまい、なかなか計画的に貯蓄出来ないという方にもお勧めします。
独身で大きな保障については現在不要だが、万が一の場合の準備と将来の計画の準備としての双方を限られた資金の中で用意したい人にも向いていると思います。
同様の観点から奥様の保障をと考えられている場合も積立型保険は検討されても良いのではと思います。
積立保険を活用するポイント
積立型の保険を活用する場合、少しでも返戻率を上げることを考えて月払ではなく年払を活用する。
あるいは余裕があれば保険料を前納するなどの方法も有りかと思います。
更に今のような低金利の時期ならば、より利率の高い外貨建ての保険を選択するのも有りかと思います。
ただいずれにせよ万人にベストな商品というものはありません。それぞれのリスクやメリットを十分に検討して選択・活用する事が大切かと思います。
以下にどのようなポイントで積立型保険を採用すると良いのか、いくつか参考になればと思い後述させていただきます。
保障内容で保険を選ぶ
先に述べた部分と重複する点もあるかと思いますが、同じ積立型であっても、保障としてのウェイトが高いものと低いものがあります。
また満期保険金のあるものや満期がない保険もあります。
そこで子供の成長にあわせて、または家を建てるタイミングにあわせてなど、何年後に一定額の資金が欲しいといった目的や時期が明確な場合は、学資保険や養老保険を選択されると良いかと思います。
この場合、死亡保険金のあるような養老保険であれあば、万が一の場合当然死亡保険金は支払われますし、学資保険の場合であれば、それ以降の保険料の支払いは免除され、何事もなければどちらの商品であれ、満期保険金が支払われます。
また積立型として将来の老後資金の確保が目的の場合、且つ万が一の保障はすでに準備されている場合、年金保険が選択肢としては有効かと思います。
また一生涯の保障を確保しつつ老後や資金が必要な時期が発生した場合、一部を減額または必要に応じては解約することで資金確保ができるものとして終身保険を選択するのも良いかと思います。
いずれにせよ昨今の低金利の情勢下、それぞれのタイプの保険の運用内容については外貨建て、あるいは変額保険といった内容のものも併せて検討されると良いかと思います。
中途解約をしない
前述のとおり途中解約のデメリットはご理解いただいていると思いますが、短期解約の場合解約控除の発生や、元本割れなどのデメリットが発生します。
従いまして途中解約については十分に配慮をし、目的の時期までは安易に解約をしないことが重要です。
そのためにもまず加入するときに十分に支払額としての保険料を吟味し、支払保険料に無理のないよう設定する事が大切です。
ただ中々将来を見据えて無理のない保険料設定について考えることは容易ではないと思います。
そこで、最近はライフプランの設定相談から将来のイベントにおける資金需要なども相談に乗ってくれるFPの方や保険担当者も多く存在しますので是非相談されることをお勧めします。
まとめ
簡単に積立型保険と言っても、メリット・デメリットにおいても記載させていただきましたが、立ち位置によって、どちらにでも判断できることになります。
自分にとって何が大切なのか、何のために貯蓄するのかを十分に検討したうえで、手段としてこのタイプの保険を活用する、またはしない、を判断することが大切です。
更に積立型保険もそのタイプ、運用スタイル(変額タイプの保険など)によって大きく貯蓄効果が異なってきます。
低金利の状態が継続しているために、これは対抗してというわけではありませんが、各保険会社もお客様に選ばれるよう、より良い効果が得られるように選択肢としての商品群はより深みを増しているように思います。
こんな時はまずは身近に相談できるFPや保険担当者にご相談されたうえで、ご自身にとって今の選択肢の中で最も自分に合った選択肢は何なのか、どのような積立型保険を選択すれば良いのかをご検討いただければと思います。
■保持資格:トータル・ライフ・コンサルタント
※記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。
※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。