定期保険はシンプルな掛け捨ての生命保険ですが、それでもいくつかの種類があります。
小さなお子さんのいる世帯では、収入保障保険や逓減(ていげん)定期保険について理解してうまく活用すると、割安な保険料で大きな死亡保障を確保できます。
ここでは主な定期保険の種類と役割をわかりやすく説明しています。概要だけでもつかんでいただければ、「知らなくて損してしまった」という失敗を防ぐことができますので、どうぞお役立てください。
目次
1. 定期保険は大きく分けて4(3+1)種類
定期保険には、いくつかの種類があり、どんな分け方をするかによってその数も変わってきます。しかし、一般的な活用シーンを考えると、大まかには家族にお金を残すための保険3種類を知っておくとよいでしょう。それらに法人(企業の経営者)向けの定期保険を加えると4種類ということになります。
家族にお金を残すための保険 | 定期保険、逓減(ていげん)定期保険、収入保障保険 |
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法人向けの保険 | 逓増(ていぞう)定期保険 |
これらの保険について、以降、活用シーンとあわせてもう少し詳しく説明していきます。
2. 家族にお金を残すための3種類
万一のときに、家族にお金を残すという、定期保険の本来的な目的にそった3種類の保険です。
2-1. 定期保険
決められた保険期間中に死亡した場合に死亡保険金を受け取れる生命保険です。保険期間中の死亡保険金額はずっと一定です。家族の生活を守るための最も基本となる保険で、通常たんに定期保険といって、誰もがイメージするのがこの保険です。
後述する逓減定期保険等との区別で、専門的には、平準定期保険ともいいます。
■定期保険の仕組み
子育て期間中など、大きな死亡保障が必要な時期にあわせて加入するとよいでしょう。
2-2. 逓減定期保険
「ていげんていきほけん」と読みます。保険加入後、年数を経過するごとに死亡保険金額が少しずつ減っていく定期保険です。家族の生活を守るために必要な死亡保障額が年々減っていくことから、それにあわせて保険金額を受取れるように設計された保険です。
■逓減定期保険の仕組み
必要保障額の変化にあった保険金額で加入できるため、通常の定期保険よりもさらに割安な保険料で大きな死亡保障を確保できます。小さなお子さんがいる世帯で、将来の必要保障額のシミュレーション結果にあわせて加入するとよいでしょう。
2-3. 収入保障保険
たとえば毎月15万円ずつなどと、死亡保険金を分割して受け取ることができる定期保険です。受け取れる期間は原則保険期間が終了するまでとなります。保険金を毎月のお給料のように受け取れるため、遺族の生活を安定的に保障できます。また保険料もいっそう割安になっています。
なお、保険金は一括して受け取ることもできますが、その場合は逓減定期保険と同様の保険であるといえます。
図にすると逓減定期保険同様の形になります。
■収入保障保険の仕組み
逓減定期保険と同じように、必要保障額の変化にあわせて加入できる合理的な保険です。保険金を毎月○円と決められるため、必要保障額のシミュレーションなしでも、契約保険金額を決定しやすい保険です。やはり小さなお子さんがいる世帯で、高額な死亡保障を確保するために利用するとよいでしょう。
3. 法人で活用される貯蓄性のある定期保険
通常、定期保険は掛け捨てで解約返戻金はありませんが、解約返戻金が出る仕組みのものがあり、主に法人向けの商品として販売されています。この種類の保険は、会社の事業リスクへの備えとともに、将来の資金準備(貯蓄)をするための保険です。
3-1. 逓増定期保険
だんだん保険金額が減っていく逓減定期保険の逆で、途中から保険金額が増えていく定期保険です。個人の場合は必要保障額は年々減っていきますが、経営者の場合は会社の成長とともに増えていくということと、保険金が年々増える形にすることで、定期保険にもかかわらず将来、多額の解約返戻金を受け取ることができるというメリットがあります。
■逓増定期保険の仕組み
万一、オーナー企業の経営者が死亡した場合の事業資金等の確保という側面もありますが、一定時期まで解約返戻金が増えていくという仕組みを利用した、経営者の退職金の準備などに利用されています。
3-2. 長期平準定期保険
長期平準定期保険とは、保険の仕組み自体は通常の定期保険と同じです。何が違うかというと、保険期間を95歳までとか99歳までといったように長期間で設定して加入できる(する)という点が違っています。
このように保険期間を長期にすると、本来は解約返戻金がほとんどない定期保険でも、解約のタイミングにより、多くの解約返戻金を受け取ることができます。
■長期平準定期保険の仕組み
逓増定期保険と同様に、経営者の死亡保障や退職金の準備などに利用されています。
4. 一般の人は定期保険と収入保障保険から選んで入る
前章では、法人向けの定期保険の話もしましたが、一般の人が家族にお金を残すために加入する場合は、定期保険と収入保障保険から選択することになります。
小さいお子さんがいて、今後の生活費や将来の教育費を全て保険で用意するとかなり高額な保険が必要といった場合には、だんだん保険金額が少なくなっていく収入保障保険が割安で適しています。(通常の定期保険でも保険料の負担が大きくなければ問題ありません)
同様に逓減定期保険でもよいのですが、現在は逓減定期保険を販売している保険会社は少なく主力は収入保障保険となっているため、ここでは収入保障保険をお勧めしています。なお、収入保障保険は、死亡時に一括で保険金を受取ることもできますので、そうすれば実質的に逓減定期保険と同じといえます。
それ以外で、特定の期間だけ死亡保障を確保したい、若い年代で本格的に保険を検討するまでの当面の間、安い保険に入っておきたいといった場合は定期保険がよいでしょう。
5. まとめ:定期保険は一般の3種類+法人用の保険
定期保険には、通常の定期保険(平準定期保険)、収入保障保険、逓減定期保険があります。家族のための死亡保障が、将来も含めどのくらい必要かによって、適切なものを選ぶとよいでしょう。割安と言われている定期保険ですが、種類によってさらに割安に加入できるので、しっかりと検討して加入するようにしましょう。
また、企業の経営者等には、逓増定期保険や長期平準定期保険などの法人向けの保険があります。通常法人向けですが、一般の人でも入れるものもありますので、どのような保険かだけは、おさえておくとよいでしょう。
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