最近、新聞や雑誌などで「老後破産」という言葉を目にする機会が増えてきたのではないでしょうか。あまり気持ちの良い言葉ではありませんが、一定数その状態になってしまう方がいらっしゃることも事実です。
「豊かな老後生活」の真逆の状態である「老後破産」にならないようにするために、今から出来る対策を考え、しっかり準備しましょう。
この記事は、ほけんペディア®の許可を得たうえで転載した記事となります。
■元記事:https://hokenpedia.itcstg.jp/life/seikatsu-rougohasan/
目次
老後破産とは
定年後の自由時間は、それまでに働いてきた時間よりも長いと言われます。
せっかくの自由時間ですから、出来るだけ経済的にゆとりを持って過ごしたいと誰しもが願うことと思いますが、様々な理由で老後破産になってしまうことが考えられます。
どういう状態に陥るのか
そもそも老後破産とは、どのような状態なのでしょうか。
端的に言えば、支出が収入を上回る生活が続き、貯蓄が無い状態に陥ってしまうことを指します。
当然日々の生活費にも困り、満足な食事が出来ず、適切な医療なども受けられなくなってしまいます。
なぜその状況が起きたのか
老後破産となってしまうのには様々な理由が考えられますが、以下のようなものが主原因として挙げられます。
収支の確認を怠った
特に現役時代に収入が高かった方に多いですが、年金生活になり、収入が少なくなったのにも関わらず支出の見直しをせず、「まだまだ貯蓄があるから大丈夫だろう」と油断していて取り返しがつかなくなるパターンです。
見栄を張らず、分相応の生活を送れば問題ないはずなのですが・・・。
病気・ケガ・介護への備えをしていなかった
突然の大病で治療費が高額になることもあれば、糖尿病や肝臓病など、徐々に進行する生活習慣病もお金がかかります。
また、介護は施設への入居一時金だけでなく毎月の費用が積み重なることや、またどれだけの期間続くのかが判らないことから貯蓄残高を一気に減らしてしまうことが多くあります。
熟年離婚
夫婦2人分の年金があれば、大抵の場合基本的な生活費は賄うことが出来ますが、離婚をすると婚姻期間中に築き上げた財産が折半となった上に、1人分での年金生活となるため、途端に立ち行かなくなってしまいます。
予期せぬ家庭問題
お子さんが離婚して子供を連れて帰ってきたりすると、想定していたよりも生活費が多くかかってしまい、老後破産へと進んでしまうこともあります。
また、家族の介護や借金、相続争いなどもきっかけになることがあります。
金銭感覚を変えられなかった
働いてお金を稼いでくることが出来る現役時代であれば、貯蓄が少なくなってきてもボーナスなどでまとまったお金が入ってくることもありますが、定年後はそうはいきません。
また自由時間も多い分、無駄遣いをしてしまいがちです。特に日々の生活費については、数カ月でも構わないので家計簿を付けて、本当に必要なものとそうでないものを確認しましょう。
定年を過ぎたのに住宅ローンが残っている
一般的に住宅ローンは35年間の返済計画を立てることが多いと思います。
30歳までに購入すれば35年返済でも年金生活が始まる前に返済完了しますが、30歳を超えて購入する場合は、定年前後に完済出来るような繰り上げ返済の計画を考えておく必要があります。
お金の相談をできる人がいない
親や兄弟など家族の間でもお金の話をすることが憚られ、問題を抱え込んでしまうケースがあります。
早めに対応すれば解決可能なことも、放っておくとこじれてしまいます。身近なお金の専門家、ファイナンシャルプランナーに相談しましょう。
老後に必要となる資金
日々の生活費はもちろんですが、それ以外に発生する費用についても備えておきましょう。
例えば、持ち家であれば固定資産税や修繕費用、賃貸であれば引越し費用などが挙げられます。
他にも家具や家電製品などの耐久消費財の買い替え費用、車を保有している場合は車の維持費用(自動車保険や自動車税、車検、買い替え費用)も必要になります。
また、加齢に伴う体力の衰えは避けられませんので、病気や介護が必要になった時の備えも準備出来ると安心です。
40代がすべきこと
仕事面では部下が付いて責任のある役職を任せられるなど仕事上の付き合いも増え、家庭面ではお子様の教育費や住宅ローンなどが頭を悩ませる頃でしょうか。
老後はまだまだ先のことと感じてしまうでしょうが、そろそろしっかり準備を始めたい年代です。
子どもの教育費をしっかり検討
出来る限りいろいろなことを習わせてあげたい、学力の高い学校へ通わせてあげたいなど、子どもの可能性を信じて伸ばしてあげたいと思うのが親心かと思います。
しかし、「教育費は聖域」として身の丈に合わないお金を掛け過ぎると、老後破産へのきっかけとなってしまいます。
特に公立か私立では大きな違いがあり、幼稚園から高校まですべて公立だった場合の教育費総額(習い事など学校外活動費含む)は約542万円、すべて私立だった場合は約1771万円と3倍以上の開きがあります。(文部科学省 平成28年度子供の学習費調査より
(http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/1399308.htm)
第一子が私立へ入学すると、弟・妹も同じようにさせてあげたいと教育費がさらにかさんでしまうことも多いので、今だけでなく将来の資金準備もしっかり確認しましょう。
健康の維持
徐々に身体の変化が現れて、健康診断で指摘を受けたり、周りでも病気になった・入院したなどの話題が出てくる年齢かと思います。
40歳を超えると健康診断の検査項目も増えますので、より身体の不調を自覚することが多くなります。
健康診断の指摘はそのままにせず、再検査となればすぐに受診し、経過観察などの項目でも日常生活を改善する良い機会と捉えて、食事や運動など出来ることから始めていきましょう。
50代がすべきこと
教育費の目途がつき、老後が段々身近に感じられてくる年代です。
また、子どもの結婚や両親の介護・相続など、向かい合わなければならない家族の課題が起こる頃でもあります。
ローンの返済
返済終了予定が定年後になるローンがあれば、定年までに完済できるように繰り上げ返済計画を立てましょう。
しかし、繰り上げ返済を急ぎ過ぎて手元資金が少なくなり過ぎるのも考えものです。
両親の介護や子どもの結婚祝い、孫の出産祝いなど、定年までに必要になるかもしれないお金もありますので、両親の状況も踏まえたライフプランを立て、その上で計画的に返済していくことをお勧めします。
貯蓄
老後のための貯蓄に向けてラストスパートする期間です。
ですが、老後資金が心もとないからと、焦ってリスク資産に飛びつくのはやめましょう。
若い頃から株や投資信託など様々な資産運用をしてきて慣れている人は、これまで通りのスタンスで運用をしていくのは問題ありませんが、急に思い立って金融機関から勧められるがまま、いきなり高額な資金で始めるのは無謀です。
リスクを軽減できる確定拠出年金やiDeCo、つみたてNISAなど、少額かつ税控除がある制度を使い、勉強しながら始めていくことが大事です。
60代からの生き方
いよいよ老後に突入です。
とは言っても身体はまだまだ元気ですし、定年後も嘱託やアルバイトなど、年金以外の収入も確保されている方が最近は多いようです。
家計を小さくまとめる
大抵の方は現役時代よりも収入が少なくなってしまいます。
しかし、生活水準を急に引き下げるのは容易ではありません。
そのままではどんどん貯蓄を崩すことになるので、まずは家計簿を付けて、生きていくための最低限の支出がいくらになるのかをしっかり把握し、出来る限りコンパクトにしましょう。
切り詰めなければ!と考えると窮屈ですが、1ヵ月間だけ最低いくらでやりくり出来るか!?と、ゲーム感覚でやってみるのも面白いと思います。
生活に大きな変化を起こさない
仕事をしている頃と違って自由時間が多くなると、無駄な出費がかさんだり、お酒好きな方は朝から飲んでしまうなど、生活環境が一変してしまいがちです。
当然金銭的にも健康上も良くありませんので、夏休みの子供への指導のようですが、出来るだけ日々の生活を変えてしまわないようにしましょう。
まとめ
老後破産にならないようにするために40代からの気を付けるべきポイントを挙げましたが、対策は早いに越したことはありません。
年齢がいくつであっても、まずはライフプランを立てて人生で叶えたいもの・優先したいものをしっかり考え、準備していくようにしましょう。
「足るを知る者は富む」です!
■保持資格:トータル・ライフ・コンサルタント
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