【2020年7月スタート】レジ袋有料化の基礎知識

2022-04-06

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2020年7月、レジ袋の有料化が全国でいよいよスタートします。
なぜ?と疑問に思う方や、出費が増えて嫌だと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事ではなぜ有料化が行われるのか、どんな袋が対象になるのかなど基本的な情報のほか、各企業の取り組みなどをクローズアップして紹介します。

1. レジ袋有料化の概要

最初に、この制度の概要や、実施の目的について見ていきましょう。

1-1. 2020年7月すべての小売店でスタート

レジ袋有料化の根拠となるのは「容器包装リサイクル法」です。2019年秋、この法律に基づく省令が改正され、「プラスチック製買物袋の有料化を必須」とすることが定められました。レジ袋有料化は2020年7月1日に全国で一斉にスタートします。

対象となるのは、すべての小売業のお店。衣料、食品、日用品などの業種に関係なく、一律に有料化されることになっています。また、製造事業者や卸売業者が百貨店の催事などで商品を販売したり、美容院が顧客にヘアケア製品を売ったりする場合など、製造業やサービス業などの事業者が小売を行う場合も制度が適用されます。

有料で配布するレジ袋の価格や売り上げの使いみちは、事業者が自由に決めることができます。ただし、1枚あたりの価格は1円以上であることが求められています。

1-2. プラスチックごみ削減が目的

ではなぜ今、レジ袋の有料化を行わなければならないのでしょうか。それは、プラスチックごみによる環境への影響が世界的に深刻になっているためです。プラスチックの多くは使い捨て。正しく処理されず、環境中に流出してしまうことも少なくありません。

流出したプラスチックが行き着くのは、多くの場合海洋です。海に流れ込むプラスチックは、全世界で年間800万トン。ジャンボジェット機5万機に相当する重さだといわれています。

プラスチックは容易に分解されず、数十年、数百年という長い年月、海中を漂います。海鳥やウミガメなどが誤って摂取して死ぬなど、生物の命を奪う結果になっているのです。また、微細な粒子となったプラスチックがあらゆる生物に取り込まれていくと考えられ、これが将来的に生態系に大きな影響を及ぼす危険性も指摘されています。

こうした悪循環に歯止めをかけるための策として、政府がレジ袋削減のための有料化を打ち出したのです。

2. 対象となるのは、どんなレジ袋?

続いて、どんなレジ袋が有料化の対象になるのか確認します。

2-1.「持ち手付き」「プラスチック製」がキーワード

結論から言うと、有料化の対象になるのは、持ち手のついたプラスチック製の袋です。商品を入れて持ち運ぶために使用されるレジ袋のほとんどが有料になると言えます。

ただし、紙製や布製の袋、プラスチック製であっても持ち手がついていない袋は対象外です。

繰り返し使用できる50マイクロメートル以上の厚さのプラスチック袋も対象外。また、環境負荷の低い、微生物によって分解される「海洋生分解性プラスチック」を100%配合した袋、地球温暖化の防止に役立つ「植物バイオマス素材」を25%以上配合した袋についても、制度は適用されません

2-2. ほかにもある!対象外の具体例

お買い物のシーンによっては、有料化の対象外になるケースもあります。

一つは、袋がサービスの提供に使用される場合(商品を入れる袋ではない場合)。クリーニングに出した衣類を受け取るときに入れてもらえる袋などが具体例です。

また、私たち消費者が辞退できない場合も制度は適用されません。例えば、陳列されている時点で商品が袋詰めになっているとき。「10個」「1kg」などの単位で袋に入ったみかんやリンゴなどの青果、衣類や食品などが入った福袋などがこれにあたります。

3. 各企業の取り組みは?

制度のしくみや、有料化の対象になるレジ袋がわかったところで、各企業がどのような取り組みをしているのか見てみましょう。

3-1. スーパー各社ではすでに浸透

レジ袋の有料化の動きは、大手スーパーなどですでに広がっています。全国スーパーマーケット協会が2019年に行った調査 では、全店有料配布を実施している企業は37.0%、一部店舗で実施している企業は15.7%となっています。

例えば、2007年から有料化を進めてきた大手スーパー・イオンは、2020年4月1日、直営店のすべての売り場でレジ袋無料配布を終了。有料化店舗の来店客のレジ袋辞退率は、すでに8割を超えています。

3-2. 紙袋で代替する動きも

有料化にあたり、環境に配慮した紙製の袋を採用する企業も出てきました。適切に管理された森林から生まれた「FSC認証」を受けた木材を原料にした紙袋の利用が広がっています。無料で配布する企業のほか、紙袋も有料とする企業もあります。

カジュアル衣料ブランド「ユニクロ」などを運営するファーストリテイリングは、2019年9月から、全世界のグループブランド3,500店舗を対象にプラスチック製の袋を順次廃止、FSC認証を受けた紙を使用した紙袋への切り替えをすすめています。当初は無料ですが、国内の「ユニクロ」「ジーユー」では今後、1枚10円(税抜)で販売する形に変更していく予定です。

3-3. バイオプラ製に切り替える試み

環境に優しいバイオマス素材のプラスチック袋で代替する動きもあります。原料は、「さとうきび」やとうもろこしの仲間「デントコーン」をはじめとした作物。さまざまな植物を使った代替プラスチック袋の開発が進んでいます 。このバイオマスプラスチック袋も、企業によって無料か有料かの対応が分かれています。

「ガスト」などを展開する外食チェーン大手すかいらーくホールディングスは、2019年12月から、グループ全店でテイクアウト用のレジ袋の素材をさとうきび由来のバイオマス原料に順次切り替えています。2020年以降、持ち帰り用の弁当容器、スプーンやフォークについてもバイオマス原料のものに順次変えていいく方針です。

4. まとめ:エコバッグを持って買い物を!

ここまで、2020年7月に迫るレジ袋有料化について、基本的な情報を確認してきました。レジ袋有料化に向け、企業がさまざまな取り組みを始めたこともわかりました。

私たちにできる最初のステップは、ふだんからエコバッグを携帯すること。おしゃれな風呂敷を使ったり、ちょっと大きめのかばんやバッグを持って外出するのもよいかもしれませんね。

じつは、プラスチックごみに占めるレジ袋の割合はわずか2%に過ぎません。しかし、レジ袋の削減をきっかけに「無駄なプラスチックを使用しない」という意識を浸透させることが、今回の制度のねらいです。プラスチックを正しく廃棄すること、そして利用を少しずつ減らすことを日々意識していきたいですね。

佐藤 史親 (編集者・ライター)執筆:佐藤 史親(編集者・ライター)
1987年山梨県富士吉田市生まれ。タウン紙記者、雑誌編集者として勤務後、フリーの編集者・ライターに。モットーは、きめ細かな取材・調査に基づいた記事づくり。お金に関する話題も、わかりやすくお届けします。

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