女性のがん保険は必要なのでしょうか?
これまでがん保険には夫しか加入していなかったけれど、育児が少し落ち着いてみたら、「将来のリスクを踏まえてそろそろ備えなくては」と思い始めた、という声も少なくありません。
実際、若年女性のがん発症率は上昇傾向にあります。ただ、がんに備えると一口に言っても、保障内容が多岐にわたっていて、どのように選べばいいのかわかりづらいという方が多いのではないでしょうか。
そこで、女性特有のがんの特徴をまとめた上で、女性のがんに備えるために必要な保障について考えをまとめました。そして最近増えてきている「女性専用がん保険」がオトクなのか、メリットとデメリットを整理しています。「女性ががん保険を選ぶときのポイントについて知りたい!」という方にぜひ読んでいただきたいです。
目次
1.女性のがんの特徴を知ることが大前提
女性のがん保険を選ぶにあたって、まず始めに女性のがんの特徴を知っておくことが必要です。
1-1.男性より低年齢で発症
女性のがんの特徴は何より低年齢化が進んでいること。女性の場合、30代から50代前半でがん罹患率が同年代の男性よりも高く、その背景には子宮頸がんや乳がんの若年罹患率増加があげられます。つまり女性の方が、男性よりも若いうちにがんを発症する傾向があると言えます。特に子宮頸がんは20代から発症するリスクがあるため、早くからの定期検診が必要です。
1-2.女性がかかりやすいがんの種類
がんの部位で見ると、40代では女性特有のがんである乳がんと子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)を合わせた割合が高くなっています。その後、年齢が上がるにつれて胃がんや大腸がんなどの割合が上がります。
中でも乳がんは日本人女性がかかるがんのなかで最も多く、そのリスクは30代で急激に増加し40代後半にピークを迎えます。乳房にしこりを感じるのが最初の自覚症状で、自己検診方法をマスターすれば自分で発見することもできます。
また、子宮がんのうち大部分を占める、子宮の入り口である頸部にできる子宮頸がんは、性交渉によるウイルス感染が原因で発症します。このがんも、検査の普及で早期発見が可能になりつつあります。
※子宮は頸・体・部位不明を含む
(出典)平成26年 厚生労働省 患者調査「上巻第62表 総患者数、性・年齢階級×傷病分類別」 より
1-3.がんの治療期間
がんの治療にはおもに手術、放射線治療、抗がん剤治療の3つがありますが、女性のがんでは一般的にこのうちいくつかを組み合わせた治療を行います。がんのステージにもよりますが、放射線治療では1カ月半から3カ月、抗がん剤治療は半年~8カ月程度かかると言われています。
1-4.女性のがんに必要な手術
乳がんの手術にはおもに乳房温存手術と乳房切除手術があり、通常どちらも入院後10日以内には退院となります。もし乳房全摘になった場合には乳房再建術も必要になることが多く、その分治療費は高額になります。
子宮頸がんでは、最も初期状態の場合、がんのある子宮頸部のみを切除する円錐切除術を行いますが、これは1泊2日の入院で手術が可能です。進行した状態の場合は子宮全摘出術、もしくは卵巣や卵管なども合わせて摘出する広汎子宮全摘術が行われ、通常の入院期間は約10日間~3週間前後です。
2.女性のがんに備えるために必要な保障内容
一般的にがん保険は、がんと診断を受けた時に「診断一時金」を受けられる、入院の場合、入院給付金が日数制限なしで受けられるといった点が特徴です。そのなかで、女性向けのがん保険は、女性特有のがんになった場合、入院給付金や手術給付金が2倍になるといったメリットがあります。女性ががんに備えるためには、以下の2つの保障が重要になります。
2-1.手厚い一時金
女性ががん保険に加入する場合も、必要な保障の種類は基本的に男性と変わりません。がんと診断された時にまとまった額のお金を受け取れる診断一時金と、放射線治療・抗がん剤治療、それぞれに対して支払われる毎月の給付金などで備えることができます。
なかでも一時金は重要ですが、その理由は大きく2つあります。
(1)治療費以外の費用負担も大きいため
特にがんの場合、退院後の治療が長く続くのが常です。治療費だけでなく、通院費やそれに伴う食事代など雑費もバカにならない負担となります。一時金があれば、こうした出費もまかなえるわけです。
(2)収入の減少に対応するため
また、女性のがんが低年齢化していることもポイントです。今の時代、女性で30代というと、学費や家のローンのために、あるいは育児に家事にと、バリバリと働いている方が多いのではないでしょうか。そのため、がんになって長期間入院することになると、治療費に加えて、働けない分世帯にかかる負担はとても大きなものになってしまいます。
こうしたことを踏まえると、治療費に対する保障だけで済ませてしまうのではなく、100万~200万円など数カ月分の生活費をカバーできる額の一時金で備えておくのが安心でしょう。
2-2.手術給付金特約
女性のがんの場合、乳房再建術、子宮や卵巣の摘出手術など高額な費用のかかる手術が行われることがあります。こうした手術に対してはたとえば、女性特定ケア給付金、乳房再建給付金などの特約でカバーできることが多いので、不安な方は検討してみてください。
また、そもそも女性特有のがんに対する保障が特約になっている場合もあります。女性専用でないがん保険に加入される際は、乳がんや子宮頸がんに対する充実した保障があるかどうかをチェックするようにしましょう。
3.女性専用がん保険のメリット・デメリット
女性専用がん保険は、乳がんや子宮がんなど女性特有のがんに手厚く備える保険です。女性特有のがんになると、入院給付金が2倍になったり、女性特有の治療や手術などに対する給付金が出るといった特徴があります。
3-1.メリットは女性特有のがんの保障が手厚いこと
女性専用のがん保険は、女性特有のがんに対する保障がかなり手厚く設計されています。例えば、入院給付金が通常のがん保険の2倍になる、診断一時金に50万~100万円が上乗せされるといった保険があるようです。さらに、通常のがん保険では特約で備えるしかなかった、乳房再建術などの高額な手術も給付金や一時金でカバーしてくれることが多いです。またオプションとしては、3年など一定期間、入院や手術の給付金をもらわなかった際に健康お祝い金やボーナスがもらえるものもあります。
3-2.デメリットは保険料が割高なこと
女性専用のがん保険は、女性特有のがんに対する保障が充実している反面、やはり保険料が割高になってしまうという側面があります。保障内容や年齢によりますが、通常のがん保険であれば月額1,000~3,000円ほどですが、女性専用では2,000~4,500円であることが多いです。
また勘違いしてはいけないのは、女性特有のがん以外の、胃がん・大腸がんといった罹患率の高いがんにかかっても、手厚い保障が受けられるわけではないということ。女性向けがん保険が手厚い保障をしてくれるのは、女性特有のがんについてだけです。それ以外のがんにかかったときは、通常のがん保険と同様の保障になります。
4.女性ががん保険を選ぶときの4つのポイント
以上をまとめると、女性ががん保険を選ぶときには次のようなポイントが重要になってきます。
- 一時金はいくらまでもらえるか?
- 高額な手術に備える保障・特約はあるか?
- 保険料に無理はないか?(特に早めに加入する場合)
- 女性特有でないがんに対する保障は十分か?
女性専用のがん保険は保険料が割高になってしまいますが、女性特有のがんに対する保障という点では一番安心です。
また、大病をした後だと、保険に加入できなくなってしまいます。自身の健康状態とも相談して決めるようにしてください。そのため、ひとまず通常のがん保険に加入して、年齢を重ねるにつれて特約をプラスして保障を充実させていくという選択肢もあります。いずれにせよ女性のがんは早めに備えることが第一なので、無理のない保険料でスタートしてみてはいかがでしょうか。
5.まとめ:女性のがん保険加入はお早めに!
以上のことから、女性のほうが、がんに罹患する可能性は若くからあること。しかも、かかるがんは女性特有の乳がんや子宮がんが多いこと。30~40代という家事に育児に仕事にと忙しい時期にがんにかかると、その負担は予想以上に大きいこと、などを考えると、女性ががん保険を検討するときは、若いうちに女性向けがん保険を検討したほうがいいという結論になります。心配な人は一刻も早く加入のアクションをとることも大切です。
※記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。
※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。