テレビCMや広告などで「終身医療保険」という言葉を目にする機会が増えていると思いますが、全ての人に向いている訳ではありません。そこで、終身医療保険の特徴を具体的に理解できるように解説します。
この記事は、ほけんペディア®の許可を得たうえで転載した記事となります。
■元記事:https://hokenpedia.itcstg.jp/iryouhoken/shuushin-iryou/
目次
終身医療保険の主な特徴
保障が一生涯続く
「終身」という言葉は保険ではよく使われる言葉で「一生涯」を意味します。つまり終身医療保険は、「保障が一生涯続く」医療保険です。定期医療保険のように、満期や更新という考え方はありません。一度加入すれば、加入者が解約の意思を示さない限り、同条件で契約は継続します。これこそが、終身医療保険の最大の特徴です。
保険料が変わらない
前述したように、契約は同条件で一生涯続きます。同条件というのは、保障内容だけでなく、支払う保険料も変わらないということです。これが終身医療保険の大きなメリットです。
保険料は加入時の年齢によって計算され、基本的には年齢が若いほど安くなります。
また、加入中は保険料を支払い続ける「終身払」を選択することもできますし、60歳・65歳など、設定した年齢までに支払い終える「短期払」を選択することもできます。どちらも支払い期間中、保険料は一定で、変わりません。
終身型と定期型の医療保険の違い
終身型と定期型の違いは、その保障期間だけではなく「保険料の払い方」にあります。
年を重ねるごとに病気やケガのリスクは高くなっていきますから、保険料は本来、年齢が上がるごとに段階的に高くなるはずです。
しかし、前述したように、終身型は一度契約すれば保障期間が一生涯であると共に、保険料も一定です。ということは、終身型は老後までの保険料を平均化し、若いうちに老後の分の保険料を先払いしていく形になります。
一方、定期型は、定められた一定期間のみ保障し、その期間が満了すれば契約は終わります。電車の「定期」券と同じです。期間の満了時に契約を「更新」することで保障を継続することはできますが、更新時の年齢に合わせて保険料は上がっていきます。つまり、常にその年齢に見合った保険料を支払うことになります。
終身型と定期型の保険料を比較するならば、若い年齢では、終身型よりも定期型の方が保険料は安くなります。しかし、老後まで医療保険に加入し続けた場合の支払い保険料の総額で考えると、終身型の方が安く済むと言えるでしょう。どちらがベターかは一概には言えず、個々の考え方やライフプラン、経済状況に合わせて選択することが必要です。
終身医療保険のメリット・デメリット
メリット
終身医療保険は、一度加入すれば生涯に渡って保障を受け続けることができます。また、若いうちに計算された保険料が一生涯続く(またはある年齢までに支払い終わる)ため、老後の負担を軽くすることができます。
また、保険料の総額で見ても、定期型で長期に渡って更新を繰り返し、老後まで継続した場合の金額と比較して割安になります。
加えて、80歳以降も保障が続くことが大きなメリットです。前述した通り、定期医療保険は定期的に更新していくことで保障を継続できますが、大半の商品は80歳以上になると加入できません。終身医療保険は若い年齢に加入しておけば、90歳になっても100歳になっても、生きている限り医療保障を確保することができます。
デメリット
一生涯変わらない、ということがデメリットになることもあります。
終身医療保険は保障が一生涯続きますが、その保障内容も一切変わりません。病気に対する治療方法や医療技術は日々進歩しています。入院日数の短期化、逆に通院治療の増加、新薬の開発と認可が進み、先進医療技術も日進月歩です。そのような医療現場の変化に合わせて、保険も内容が改定されたり、続々と新商品が開発されています。保障内容が変わらないということは、そのような変化には対応できないことになります。
また、保険料についても、デメリットとなることがあります。前述したとおり、若いうちから老後までの保険料を先払いしています。もし思ったほど長生きしなかった、または何らかの理由で保険を継続しなかった(できなかった)場合、割高な保険料を払ったことになります。
まとめ
ここまで、終身医療保険の特徴とそのメリット・デメリットについて、定期医療保険と比較しながらお話してきました。お気づきのことと思いますが、これらメリット・デメリットは、正に表裏一体となっています。
「保障」が一生涯なのは安心感があります。しかし一方で、変化に対応できないという弱点でもあります。
「保険料」が一生涯変わらない、もっと言えば老後の支払いを0にすることも可能であるというのは大きな備えになります。しかし、逆に言えば若いうちは高い保険料を払うことになりますし、契約を継続しなかった場合は結局割高な保険料を支払ったことになります。
どちらがベターかを、簡単に結論を出すことはできません。
医療保険の選択の仕方にはひとつの正解というものはなく、その人それぞれのライフプランやお金に対する考え方によるところが大きいのです。
医療保険のみならず、保険を考える時の最大のポイントは、商品から選択するのではなく、まず自分には何が必要なのか、を整理することです。収入と支出、資産と貯蓄のような経済的な情報に加え、健康状態や遺伝情報などの身体的な情報を整理しましょう。正確なデータを収集することで、どのような時に資金が不足するのか、保険で準備すべき保障はどの部分なのかが見えてくるでしょう。
また、自分のデータを整理して不足部分が明確になっても、いざ保険商品に置き換えるときには、最適な選択ができるか不安に思うものです。保険商品は選び方を間違えると、いざという時に「こんなはずじゃなかった」、という結果を招いてしまうこともあります。
何となくの不安を解消し、最後に納得の選択をするためには専門家の知恵を借りることもひとつの方法です。
■保持資格:CFP®資格、住宅ローンアドバイザー、宅地建物取引士
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