女性保険は妊娠・出産のときに給付される?

  • 公開日:2020年03月31日
    最終更新日:2022年11月07日
  • 医療保険

2022-11-07

https://www.kurashino-okane.com/medical-insurance/women-ins-pregnancy/

「女性保険」と呼ばれる保険は、どのような保険なのでしょうか。また、気になる妊娠や出産について、女性保険では給付金は出るのでしょうか?

実は、その答えとは「出る場合も、出ない場合もある」というものです。その違いについて検証していきます。また、妊娠中でも女性保険に入れるのか?という疑問にもお答えします。

1. 女性保険とは?

まずは女性保険と呼ばれる保険がどのようなものか見ていきましょう。

1-1. 女性保険とは、女性向けの医療保険

女性保険とは一般的に、通常の医療保険の内容にプラスして女性特有の疾病への保障を手厚くした医療保険のことを言います。一部の保険会社によっては、死亡保障なども備えた女性向けの総合型保険を指している場合もありますが、多くの場合は、医療保険のことを意味していると考えてください。

1-2. 女性保険の保障内容

具体的な保障内容は商品によって違いがありますが、女性特有の疾患による入院給付金を上乗せする、というものが一般的です。

例えば、けがや他の病気で入院した時の1日当たりの入院給付金額が5,000円のケースでは、女性特有の疾患による入院の場合に1日当たりの入院給付金額1万円や1万5000円を給付するというように、入院給付日額が増やされて給付されるのが一般的な内容です。その他、手術給付金を増やす商品もあります。

1-3. 対象となる女性疾患にはどういうものがあるの?

対象となる疾患は商品によって異なっていますが、おおむね、子宮や卵巣に関わる疾患(子宮筋腫・子宮がんなど)と、乳がんなど乳房の疾患、帝王切開など妊娠や産じょくに関する疾患などが対象となります。

ただし、実際の保障範囲は商品によってかなり違っているのが現実です。例えば、入院日額を増額する対象として、「すべてのがんの入院」を対象としている商品や、「女性特有のがんによる入院だけ」を対象としている商品もあります。

つまり、肺がんや胃がんで入院をした場合に、通常の医療保険分だけの給付金が出る商品と、女性保険の保障対象となり、入院日額を増額して給付される商品がある、ということになります。そのため、実際の保障の範囲については、加入する前によく確認するようにしてください。

2. 妊娠・出産に関する入院で、給付金は出るの?

妊娠や出産による入院で、医療保険の給付金が出るのか、気になっている人もいるかと思います。これについては基本的に、「普通分娩(正常分娩)」と「異常分娩」のどちらなのかによって結果が異なります。

「普通分娩」による入院の場合は、医療保険の保障の対象とはなりません。これは女性保険の部分だけではなく、通常の医療保険の部分でも保障の対象外となりますので注意してください。また公的医療保険についても基本的に出産は病気ではないので、普通分娩は原則全額自費になります。

これに対して、帝王切開手術など、「異常分娩」として治療等を伴う入院や手術となった時には、医療保険の入院給付金や手術給付金保障の対象となります。加入中の女性保険が帝王切開を対象としている商品であれば上乗せ給付の対象となります。もちろん公的医療保険も対象となりますので、高額療養費制度も利用できます。

3. 妊娠中や出産後は、女性保険に入れる?

3-1.妊娠中は、女性保険に入れないの?

妊娠中の保険加入は、女性保険や医療保険等に限らず、多くの場合、「妊娠や出産に関する保障を対象外とする(特定疾病・部位不担保)」という条件がつく場合がほとんどです。

また、商品によっては妊娠中の人は加入自体ができないとしている保険会社もあります。なお、一部ですが妊娠中でも加入を認める商品もあります。

3-2. 出産後でも、女性保険に入れないの?

出産後については、もしも帝王切開手術を一度でも経験すると、その次の出産でも同様の手術を行うケースが多いことから、女性保険に加入できなかったり、条件がついたりするなどの可能性が高くなります(※経過年数や年齢などによって、加入できる場合もあります)。

つまり、女性保険は妊娠前に加入しておくことが非常に大切ということです。

厚生労働省の「平成29年(2017)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」によると、分娩件数に占める帝王切開娩出術件数の割合の年次推移は下記の通り、年々上昇傾向にあります。平成29年では、一般病院において、25.8%が帝王切開による分娩となっています。つまり4人に1人は帝王切開によって出産していることがわかります。

こうしたことからも、女性はなるべく妊娠前に女性保険等の医療保険に加入し保障を確保しておくことが大切です。

■分娩件数に占める帝王切開娩出術件数の割合の年次推移

注:平成23年の数値は、宮城県の石巻医療圏、気仙沼医療圏及び福島県の全域を除いた数値
(出典)厚生労働省「平成29年(2017)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」

4. まとめ:女性保険と妊娠・出産について

最後に、女性保険と妊娠・出産について情報をまとめましたので参考にしてください。

  • 女性保険とは、通常の『医療保険』の内容にプラスして『女性特有の疾病への保障を手厚くした医療保険』のことです
  • 女性保険は、女性特有の疾患による入院給付金日額を上乗せしているものが多いです
  • 女性保険の保障範囲は、商品によって異なりますので事前に確認しましょう
  • 普通分娩による入院は、給付金の対象になりません
  • 帝王切開など異常分娩による手術や入院は、一般の医療保険の対象となる他、多くの女性保険で上乗せ給付の対象となります
  • 妊娠中の保険加入は商品によって条件が付きます。妊娠前の加入が理想的です

※本記事は2020年3月時点の情報をもとに作成しています。

森田 直子(保険ジャーナリスト|有限会社エヌワンエージェンシー代表)執筆:森田 直子(保険ジャーナリスト|有限会社エヌワンエージェンシー代表)
保険・金融専門の執筆家で庶民感覚のわかりやすい文体に定評がある。保険WEBサイト、経済紙記事、書籍「就業不能リスクとGLTD(共著)」ほか執筆実績多数。保険業界メールマガジンinswatch発行人。

※記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。

※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。