医療費控除の申請期間|ケースにより2種類あるのでお間違いなく

2022-04-15

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年間の医療費の負担が10万円を超える場合、医療費控除により所得税が安くなります。通常この医療費控除の申請は、確定申告により行います。

しかし、普段確定申告をすることのない一般の会社員は、たった1ヵ月の申告期間に手続きをするのは大変かもしれません。でも実は、そのような人たちの医療費控除の申請は、確定申告の期間にかかわらず行うことができます。

この記事では医療費控除の申請期間(正式には申告期間)や申請方法(申告方法)について、わかりやすく説明します。難しそうだと敬遠して、医療費控除を受けられなくなってしまわないように、この記事を読んで申告のタイミングや手順について知っていただけると幸いです。

1. 医療費控除の申請期間は確定申告が必要かどうかにより違う

医療費控除は普通は確定申告の中で行いますが、もともと確定申告が不要な人が医療費控除を行う場合は還付申告といい、5年間いつでも申請できます。

1-1. まず、確定申告とは?

医療費控除の申請の話の前に、はじめに確定申告について説明します。
確定申告とは、1月1日から12月31日の1年間に得た収入にかかる税額を計算して税金を納める、または事前に払いすぎた税金が戻ってくる、精算手続きです。毎年2月16日から3月15日まで(開始日、終了日が土・日・祝の場合は翌日にずれます)が申告期間と定められています。

以前の確定申告は多くの書類を記入、提出しなければならないため大変でしたが、近年では電子申告が進んだことにより、申告書の作成も国税庁のWEBサイトにある作成コーナーを利用し、そのまま提出まで行えるため、かなり省力化されています。

1-2. 医療費控除は、確定申告の中で行う

確定申告では所得の計算、税額の計算の中で、扶養控除をはじめ、生命保険料控除や医療費控除、寄附金控除など、各種控除の計算もあわせて行います。つまり、確定申告を行う人は確定申告において医療費控除を含めて計算し、最終的な税額を申告することになります。

したがって、確定申告が必要な人の場合、医療費控除の申請期間は確定申告期間と同じ、毎年2月16日から3月15日まで(開始日、終了日が土・日・祝の場合は翌日にずれます)となります。

1-3. 確定申告が不要な人は5年間いつでも申請できる

では、一般の会社員など、自身で確定申告を行っていない(会社で年末調整が行われている)人はどうすればよいのでしょうか?

そのような人が医療費控除を行う場合は、医療費控除の申告のみを行えばよく、このことを還付申告と言います。還付申告の場合は、確定申告の期間に関わらず、対象の年から5年以内であればいつでも申告が可能です。5年間と期間が長いため、これまで申告していなかった年の分も過去5年分までさかのぼっての申請が可能です。

<医療費控除の申請期間(還付申告の場合の申告期間)の例>

  • 2022年の医療費控除の申請期間
    → 2023年1月1日~2027年12月31日

2. 医療費控除の申請方法と必要な書類

医療費控除の申請期間の説明の中で何度も出てきているように、医療費控除は原則、確定申告の中で行い、還付申告についても申請期間が違うだけで手続きは確定申告と同様です。

2-1. 申請方法

確定申告および還付申告は、居住地域を管轄する税務署に行います。

2-1-1. 申告書類の作成方法

医療費控除の作成方法としては、税務署や国税庁のWEBサイトから必要書類を入手し手書きで作成するか、国税庁の特設WEBサイト「確定申告書等作成コーナー」で作成します。

手書きの場合は、自分で計算しながら複数の書類の必要項目を記入しなければなりませんが、「確定申告書等作成コーナー」であれば、必要な項目を入力すると、細かい計算や最終的な申告書類への記入は自動でやってもらえるので、確定申告になれていない人は「確定申告書等作成コーナー」を利用するとよいでしょう。

医療費控除の申告だけであれば2019年からはスマホで「確定申告書等作成コーナー」を利用できるようになっているので便利です。

・「スマホで確定申告がますます簡単に!その手順とは?

一方、スマホやPCでの作成が苦手という方であれば、税務署に直接行き、説明してもらいながら作成してもよいでしょう。確定申告の時期は各税務署が特設の申告書作成会場などを設置しています。ただし、確定申告時期は非常に混雑しますので、確定申告不要で医療費控除等の還付申告のみをする人は、確定申告の時期を避けて、税務署がすいている時期に行った方が、待ち時間もなくゆっくりと教えてもらえるのではないでしょうか。

2-1-2. 申告書類の提出方法

作成した医療費控除の申告書類は、税務署に提出します。提出の方法は以下の3つの方法があります。

  1. 住所地を管轄する税務署に持参する
    ※夜間などは時間外収受箱に投函することもできます
  2. 郵送などで管轄の税務署に送付する
  3. e-Taxで申告する
    「確定申告書等作成コーナー」で作成した申告書データをそのままインターネットで送信する方法です

2-2. 申告に必要な書類

医療費控除の適用を受けるためには、確定申告書と医療費控除の明細書を提出します。そのほか、書類作成に必要な書類等として、医療費の領収書、会社員等の場合は源泉徴収票などがあります。

医療費控除の明細書は、医療費の領収書等をもとに記入します。それらの領収書は提出は不要ですが、5年間は保存しておかなければなりません。また、健康保険の保険者から送られてくる医療費通知を添付する場合は、明細の記入を省略することができます。

医療費控除の申告に必要な書類

  • 確定申告書(AまたはB)
    還付申告のみの場合はA
  • 医療費控除の明細書
  • 健康保険の医療費通知
  • 医療費の領収書、レシート等
    5年間保存が必要
  • 給与所得の源泉徴収票(会社員等の場合)

医療費控除の申請書類や書き方については「医療費控除を申請するために必要な書類とその書き方」をご覧ください。

3. まとめ:医療費控除の申請期間を正しく知って申告しよう!

医療費控除の申請期間は、確定申告をする人は翌年の確定申告の申告期間(翌年の2月16日頃~3月15日頃)になり、確定申告の必要がなく還付申告のみの人は、翌年1月1日~5年後の12月31日までとなります。

確定申告をしている人は、その中で行うため申告の機会を把握できていると思いますが、そうでない人は、5年という長い期間がありますので、しっかり準備して申告するようにしましょう。

いずれにせよ、医療費控除を申請するには、計算のために病院や薬局の領収書も必要なので、普段からもれなく保管するように気をつけてくださいね。

敷田 憲司(Webマーケティングコンサルタント)執筆:敷田 憲司(Webマーケティングコンサルタント)
1975年福岡県北九州市生まれ。SEOやPPC広告運用、コンテンツ企画からライティングも行うサッカー大好きなコンサルタント。書籍も多数執筆。金融システムの開発や保険サイトに携わった経験から、保険や金融の有益な情報を届けします

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