【2020年4月改正】自賠責保険料が平均16.4%値下げ

  • 公開日:2020年04月24日
    最終更新日:2022年04月06日
  • 損害保険

2022-04-06

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2020年4月、自賠責保険料(基準料率)が改定されました。3年ぶりの改定となった今回は、ほとんどの車種で10%を超える値下げに。このページでは、実際にどれくらい安くなるのかや、値下げの理由などについて詳しく解説します。

1. 3年ぶりに自賠責保険料が値下げ!気になる新保険料は?

自賠責保険料(基準料率)が改定されたのは、2017年4月以来3年ぶりのことです。前回は平均で6.9%の値下げが行われました。今回の改定でも値下げが行われ、全車種平均で16.4%安くなりました

実際にどのくらい保険料(基準料率)が安くなったかを見ていきましょう。自賠責保険の保険料は、利用目的(自家用か事業用か)や車種(乗用か貨物か、普通車か軽自動車か)ごとに異なります。それによって事故の発生頻度や被害程度に差があるためです。

また、地域によっても保険料に違いがあります。区分は、「北海道・本州・四国・九州」、「これらの離島」、「沖縄県」、「沖縄県の離島」の4つ。離島や沖縄県は本土よりも安い保険料になっています。

ここでは、代表的な車種の新保険料を紹介します。たとえば、2年契約の自家用乗用車の場合、改定率は-16.6%。25,830円から4,280円安くなり、21,550円になりました。また、軽乗用車は3,930円安くなり、21,140円になるなど、軒並み10%以上の値下げとなりました。

■2020年4月からの自賠責保険料(2年契約)

車種改定保険料改定額改定率
自家用乗用自動車21,550円-4,280円-16.6%
自家用小型貨物自動車24,790円-4,680円-15.9%
軽自動車21,140円-3,930円-15.7%
小型二輪自動車(250cc超)9,680円-1,840円-16.0%
原動機付自転車8,950円-1,000円-10.1%

※離島および沖縄県を除く地域

■2020年4月からの自賠責保険料(3年契約)

車種改定保険料改定額改定率
自家用乗用自動車29,520円-6,430円-17.9%
軽自動車28,910円-5,910円-17.0%
小型二輪自動車(250cc超)11,900円-2,790円-19.0%
原動機付自転車10,790円-1,550円-12.6%

※離島および沖縄県を除く地域

その他の車種、契約年数、地域の保険料については、以下のページをご覧ください。

自動車損害賠償責任保険基準料率(損害保険料率算出機構)

2. 自賠責保険は強制加入

自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)は、原動機付自転車を含むすべての自動車に加入が義務付けられた強制保険です。加入していなければ、その車両を公道で運転することはできません。自賠責保険は交通事故の被害者救済のために設けられ、死亡による損害の場合、最大3,000万円が支払われるなど、第三者への対人賠償をカバーしています。

3. なぜ値下げ? 消費増税でも保険料が下がる理由

2019年10月に消費増税が行われたほか、2020年1月には消費者物価指数が37ヶ月連続で上昇するなど、どちらかというと「値上げ」を耳にすることが多くなっています。こうした情勢下でも自賠責保険料が値下げになるのには、どんな理由があるのでしょうか。

3-1. 保険料率は専門機関が毎年検証

1955(昭和30)年に 創設された自賠責保険。公的保険の性格が強いため、ノーロス・ノープロフィットの原則(損失も利益も出ないように運用するという考え方)の下、保険料はできるだけ安くすべきものとされています。

保険料は「損害保険料率算出機構」が毎年検証。契約・支払の状況や、滞留資金(貯金に相当するもの)の額などから、保険料(基準料率)を算出しています。改定の必要があれば金融庁に届出が行われ、「自動車賠償責任保険審議会」の答申を経て実施されます。

3-2. 最大の理由は、交通事故の減少

先ほど触れたように、自賠責の保険料は利益も損失も出ないような額でなければなりません。保険金給付額が多く、赤字の状態が続けば保険料を上げざるを得ませんし、給付額が少なく済んで黒字状態が続けば、保険料は下がっていきます。

今回の改定の理由について、自動車損害賠償責任保険審議会では「交通事故の減少等により、前回の基準料率改定時の想定以上の黒字となっていること」が筆頭にあがりました。交通事故の発生件数はピークだった2004年には年間95万件あまりでしたが、2016年に50万件を切り、2019年には38万件あまりにまで減少。自動車の安全性能の向上などがその理由と考えられています。

4. まとめ:事故を起こさないために安全運転を!

2020年4月に改定された自賠責保険の保険料(基準料率)。公的機関が合理的に保険料を決めているため、今回のような値下げが行われることがわかりました。主な理由は、交通事故の減少ですが、ここ15年あまりで急激に事故が減っているのは喜ばしいことです。

いっぽうで、万が一事故が発生した場合、自賠責保険だけではすべての負担を賄いきれない点には注意すべきです。自賠責の補償範囲は、対人賠償のみ。運転者自身のケガの治療費や車の修理費用、事故で破損した建造物などの補修費用などは保険金支払の対象外。これらを任意保険で適切にカバーしなければならないことは、言うまでもありません。

そして何よりも、事故を起こさないための心がけも大切です。「車やバイクは時に凶器になりうる」という意識を常に持ち、安全運転に努めたいですね。

佐藤 史親 (編集者・ライター)執筆:佐藤 史親(編集者・ライター)
1987年山梨県富士吉田市生まれ。タウン紙記者、雑誌編集者として勤務後、フリーの編集者・ライターに。モットーは、きめ細かな取材・調査に基づいた記事づくり。お金に関する話題も、わかりやすくお届けします。

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