生命保険は、マイホームに次いで人生で2番目に高い買い物だといわれています。「えっ、生命保険ってそんなに高いの?」とびっくりするかもしれませんが、毎月の保険料は少額でも払込が長期間にわたって続くため、総額は数百万円にものぼります。そのため、一世帯の払込総額が1,000万円を超えることも、めずらしくありません。
家計にとって大きな負担となる生命保険料。毎月かかる費用だけに、保険料はできるだけ安く抑えたいものです。今回は、生命保険の割引制度についてお知らせします。さまざまな制度を知っておくと、保険に加入する際に、保険料を節約できる可能性があります。
目次
1.健康状態や喫煙の有無で保険料が安くなる「リスク細分型保険」
生命保険は、加入者間に不公平が生じないよう、加入にあたって過去の病歴や現在の健康状態などについて審査をおこないます。リスクが一定の範囲内におさまるようにすることで、制度の公平性を保っています。
健康状態などに問題がなければ、年齢と性別によって保険料が決まるのが一般的ですが、健康状態や喫煙の有無によって生命保険料を割り引いている商品があります。これをリスク細分型保険といいます。健康状態のよい人や、たばこを吸わない人は、病気で死亡するリスクが低くなるため、保険料が安くなります。
1-1.優良体(健康体)割引
保険会社によって、優良体割引、健康体割引などの名称があります。
BMI(身長・体重)、血圧などについて、一定の基準を満たしていると保険料が割り引かれます。おもに、定期保険や収入保障保険などで適用されます。
BMIとはBody Mass Index (ボディマスインデックス)の略称で、肥満度を表す指数です。BMI=体重[kg]÷(身長[m]×身長[m])の計算式で求めることができ、BMIが22のときにもっとも病気になりにくいとされています。BMIが高すぎる場合だけでなく、低すぎる場合にも基準を満たすことができません。肥満や痩せすぎには注意しましょう。
血圧については、最高血圧と最低血圧が保険会社の定める基準値を満たさなければなりません。血圧が高いと、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)や心疾患(心筋梗塞、狭心症など)のリスクが高まることがわかっています。高血圧の状態が続くと血管の痛みが進んでしまいます。血圧が高めの人は、食生活を見直すなどの対策が必要です。
なお、優良体(健康体)割引の適用条件や保険料割引率は、保険会社によって異なります。
1-2.非喫煙者割引
過去1年間または2年間に喫煙をしていないと保険料が割り引かれます。おもに、定期保険や収入保障保険などで適用されます。優良体(健康体)割引と非喫煙者割引の適用が組み合わされ、保険料がより安くなる場合もあります。
喫煙は肺がんをはじめさまざまながんの原因になるため、喫煙者は非喫煙者に比べてがんになるリスク、がんで死亡するリスクが高まります。また、がんだけでなく、心疾患や呼吸器系の病気の原因にもなります。現在喫煙している場合でも、禁煙することで病気のリスクを下げることができます。
非喫煙者割引の適用は、喫煙歴だけでなく、保険会社の定める検査結果によって判断されます。検査方法や保険料割引率は、保険会社によって異なります。また、保険加入後に喫煙をしたとしても、非喫煙者割引の適用に影響はありません。喫煙が原因となる病気で亡くなった場合も、死亡保険金を受け取ることができます。ただし、更新型の保険は、更新時に再審査が必要なことがあり、非喫煙者割引を継続できない場合があります。
2.保険加入後の取り組みによって保険料が安くなる「健康増進型保険」
健康増進型の保険では、保険加入後に健康維持や健康増進の取り組み(ウォーキング、健康診断書の提出、健康状態の改善など)をおこなうと、保険料の割引や払い戻しなどの特典を受けられます。加入者の健康状態がよくなることで、保険会社が支払う保険金が少なくなるため、保険料が安くなります。おもに、定期保険や収入保障保険などで適用されます(医療保険にもあり)。健康増進型保険に優良体(健康体)割引、非喫煙者割引が適用され、さらに保険料が安くなる場合もあります。
これまでの保険は、加入時の審査に通れば、健康に気を配っている人も不摂生をしている人も保険料の算定に違いがありませんでした。健康増進型保険は、加入後の健康維持・増進活動を促す新しいタイプの保険です。
なお、取り組みの内容や特典は、保険会社によって異なります。保険料が安くなるだけでなく、さまざまな割引サービスが受けられる商品もあります。
3.保険金額が一定額以上だと「高額割引」の対象に
高額割引とは、読んで字のごとく、契約する保険金額が一定額以上の場合、保険料が割引かれる制度です。割引対象となる保険金額や適用される商品、保険料割引率は、保険会社によって異なります。
保険金額の変更、解約、特約の非更新などによって保険金額が下がり、割引が適用されなくなることがあるので注意が必要です。
4.まとめ:加入・見直し前に割引制度があるか確認を
生命保険の割引制度には、健康状態によって保険料が安くなるタイプと、保険金額によって保険料が安くなるタイプがあります。
優良体(健康体)割引、非喫煙者割引は、定期保険や収入保障保険に区分料率適用特約を付けたもの、健康増進型保険は、定期保険や収入保障保険に健康増進特約などを付けたものです。定期保険や収入保険がメインであって、割引はオプションです。いっぽう高額割引は、多額の保険料を支払っている加入者への優遇措置です。
新しく保険に加入する際や、これまでの保険を見直す際には、割引制度があるかどうか比較検討してみましょう。ただし、割引制度があるという理由で、不要な保険に加入してしまうのは本末転倒です。本当に必要な保険かどうかをよく考えて商品を選ぶことが大切です。
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