病院に入院にしたときの入院費用は、平均で20.8万円かかるという調査結果があります。
しかし、実際の入院費用は病気の種類によって変わってくるはずです。単なる平均額だけでなく、もっと詳しい費用を知りたいですよね。また、医療保険を検討しる場合は、入院給付金の日額を決める参考ために1日あたりの入院費用も気になるところです。
ここでは、入院費用の平均額として複数の統計データの値を紹介します。傷病別の費用も掲載しているので、ぜひ参考にしてください。
また医療保険に入る場合に、1日あたりの入院費用の平均額をそのまま入院給付金の額にしてはいけない理由や入院給付金の目安についてもわかりやすく解説します。医療保険の加入や現在の医療保険の見直しに、ぜひお役立てください。
※2020年4月28日 更新日時点の最新の入院費用データに更新
目次
1. 入院費用の平均額
この章では、入院費用の自己負担額の目安として、生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(令和元年度)」の結果を紹介します。
なお、この調査の入院費用は高額療養費を使った場合は利用後の最終的な自己負担額となっています。また、直接的な入院費用だけでなく、入院に関連して購入した衣類や日用品、お見舞いの家族の交通費なども含んでいます。
1-1. 入院時の自己負担費用の平均は20.8万円
入院したときの自己負担額は平均で20.8万円となっています。
また費用帯別では、10~20万円未満の30.6%が最も多くなっています。
■入院時の自己負担費用
※過去5年間に入院し、自己負担を支払った人をベースに集計
※高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額
※治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品費などを含む
(出典)生命保険文化センター「生活保障に関する調査(令和元年度)」より
1-2. 1日あたりの自己負担費用の平均は2.3万円
入院費用の自己負担額を入院日数で割った1日あたりの自己負担額の平均は2.3万円となっています。
また、1日あたりの自己負担費用で最も割合が高いのは「10,000~15,000円未満」の24.2%となっています。そして、15,000円未満で全体の約54%を占めています。
■入院時の1日あたりの自己負担費用
※過去5年間に入院し、自己負担を支払った人をベースに集計
※高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額
※治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品費などを含む
(出典)生命保険文化センター「生活保障に関する調査(令和元年度)」より
2. 病気やけが別の入院費用の平均額
どんな病気やけがで入院したかによって入院費用も違ってくるので、傷病別の入院費用の平均をみてみましょう。
このデータは全日本病院協会が公表している入院医療費です。1章の生命保険協会のデータと違い、日用品などの費用やお見舞いの交通費などは含まれていません。また、自己負担の目安は高額療養費を利用する前の負担額となります。
これをみると、入院費用が多くかかる傷病は、急性心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、大腿骨頸部骨折などです。また1日あたりの入院費用が多くかかる傷病は、急性心筋梗塞、子宮筋腫、乳房の悪性新生物(乳がん)となっています。
健康保険の自己負担割合を3割として概算した自己負担の目安をみると、1入院費用は、10万~70万円くらいまでの幅があります。20万~30万円くらいの傷病が多くなっていますが、50万円以上の傷病もあることがわかります。
また1日あたりの自己負担の目安でみると、傷病により1万~5万円くらいまでの幅があり、多くは2万円前後となっています。
■傷病別の入院費用
※参加病院の平均値(2019年10月~12月)
※自己負担額(概算)は、1入院費用の3割として計算した金額です。実際の自己負担額ではありませんので参考データとしてご覧ください。
(出典)公益社団法人全日本病院協会WEBサイト掲載データを元に作成
3. 50万円くらいの貯えがなければ医療保険を検討しよう
ここまでみてきたように、何らかの病気やけがで入院した場合、病院に支払う平均的な入院費用は3割負担でも20~30万円程度。多いと40~50万円になることがあります。そこから健康保険の高額療養費を利用した後の入院費用の自己負担額の平均は20.8万円(生命保険文化センターの調査より)です。
急に医療費が多くかかっても大丈夫な貯え(余裕をみて50万円くらい)があればよいですが、それだけの貯蓄がない人や貯蓄があったとしても使用する目的が決まっていて預貯金を取り崩したくないといった人などは、入院費用への備えとして医療保険の加入を検討するとよいでしょう。
次章では、医療保険に加入する場合の保障額の決め方をご紹介します。
4. 入院費用(日額)からみた医療保険の加入額の決め方
医療保険に加入する場合、基本となる保障は入院給付金で、1日あたりの入院給付金額をいくらにするかという契約をします。ここでは、その入院給付金日額の決めるときの考え方をご紹介します。
4-1. 統計データの平均額をそのまま保障額にしてはいけない
入院給付金日額の目安としては、1日あたりの入院費用の平均額など統計データが参考となります。しかし、統計データの平均額そのままを保障額にしてはいけません。その統計データが、どのような費用を表しているかということを考えて自分で補正をする必要があります。
たとえば、生命保険文化センターの調査結果では、1日あたりの入院費用の平均は2.3万円です。平均というとちょうど中間の費用というイメージがしますが、内訳をよく見てみると、2万円未満の割合が62.5%となっています。つまり多くの場合は2万円以内におさまっているということです。
また、この入院費用には差額ベッド代が含まれています。したがって入院しても個室ではなく大部屋でよいという人にとっては、差額ベッド代分の費用は不要で、その分を減らして考えることになります。(差額ベッド代について詳しくは→「不要な差額ベッド代を払いたくない人のための基礎知識」)
そして、1日あたりの入院費用をそのまま入院給付金日額にしてはいけないもう一つの理由は、医療保険には手術給付金があるからです。もちろん、なかには手術をともなわない入院もあると思いますが、手術をすれば手術給付金が10~20万円くらい入ってきます。
たとえば10万円の手術給付金が入ってきて、入院日数が10日間だったとすれば、手術給付金で日額1万円分補えることになります。その分、入院日額を抑えて加入することが可能です。
つまり医療保険に入るときには、これらのようなことも考えて過剰な保障にならないようにすることが大切といえます。
4-2. タイプ別、入院給付金額(日額)の目安
ここでは、どのような入院生活を送りたいかという意向タイプにあわせて、入院給付金日額の目安を示します。
4-2-1. 入院費費用も保険料もできるだけ抑えたいなら日額5,000円
基本的な治療費以外に特別な費用を払うつもりはなく、病室は大部屋でよいし、入院中の衣類や身の回り品も普段使っているものでよい。さらに医療保険もできるだけ安く抑えたいという人であれば、入院給付金(日額)は5,000円くらいでよいでしょう。
4-2-2. 快適な入院生活を送りたいなら日額1万円以上
病室はできれば少人数部屋や個室にしたい。入院中の衣類や身の回り品も新しく購入してできるだけ快適に過ごしたいという人なら、入院給付金の日額は1万円くらいは必要となります。
4-2-3. 個室で過ごしたい・有名病院に入りたいなら日額2万円以上
病室は個室にしたいし、自宅で過ごすような快適な生活を送りたいという人や有名病院に入院したいという人が医療保険で入院費用にそなえるなら、入院給付金日額は2万円以上で自分の希望に応じて、より高額な保障をお考えください。
■医療保険の保険料の目安
被保険者:30歳男性/1入院の支払限度日数:60日/基本的な保障のみ
※実際の保険料は保険会社や商品によって違います。また特約などで保障を充実させると保険料は上がります。
5. まとめ:入院費用の平均額(20万円)くらいの備えは必要
統計データによると、入院費用の自己負担額は、特別に医療費が高額になる病気を除いて、だいたい20~30万円くらいが平均的な相場となっています。
入院して高額な医療費がかかったようなときには、健康保険の高額療養費があり、一般的な会社員などであれば1ヵ月の自己負担額の上限は約8万円ですます。しかしその場合でも、一時的に病院に支払わなければならない金額や、健康保険が適用されない差額ベッド代などの費用も考慮すると、40~50万円くらいの出費になる可能性があることも覚悟しておかなければなりません。生命保険文化センターの調査によると、入院時の自己負担額の平均は20.8万円となっており、少なくともそれくらいの貯えは必要ということです。
備え方は、預貯金などでも医療保険でもかまいません。いざというときに困らないようにしておくことが大切です。
また、いざ入院というときに、お金以外で準備しておくとよいものについては「入院時の準備リスト|必要なもの便利なものを簡単チェック!」をご参照ください。
※入院費用の負担を抑えるための工夫についてはこちらをご参照ください。
→「入院費用の自己負担額を減らすための知識と3つの工夫」
※本記事は2020年4月時点の情報をもとに作成しています。
※記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。
※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。