入院日数はどのように数えるのか?
病気やけがで入院すると、入院日数は何日くらいになるのか?
医療保険に入っている人も、これから入ろうとする人も、入院日数について疑問があるのではないでしょうか?
ここでは、そんな医療保険にまつわる入院日数の疑問を解消できるように、入院日数の数え方や厚生労働省の統計データをもとに病気別の入院日数を紹介しています。
特に、これから医療保険に入ろうとしている人は、入院給付金の支払限度日数(30日、60日、120日など)を何日にしたらよいかがわかるようになっています。もしものときに、医療保険があまり役に立たなかったとか、逆に過剰な保障をつけて保険料を無駄に払い続けてしまったといったことにならないように、この記事をお役立てください。
※2020年5月20日 更新日時点の最新の入院日数データに更新
目次
1. 入院日数の数え方
入院日数の話をするにあたって、まずは入院したときの入院日数の数え方をおさえておきましょう。
入院日数を数えるときには、日付と同じく午前0時が基準となります。午前0時から翌日の午前0までの間の滞在が入院1日です。日付をまたぐと入院日数が1日加算されます。また、丸1日でなく1時間の入院であったとしても入院日数は1日として数えます。
したがって入院日数は、入院した日と退院した日を含めてトータルで病院に在院した日数になります。医療保険の入院給付金もこの日数分受け取ることができます。
2. 統計データからみた入院日数の実態
どんな病気やけがで何日くらい入院することになるのか、厚労省の統計データから入院日数の実態を探ってみましょう。
2-1. 傷病別・年齢別の入院日数
厚生労働省の「平成29年患者調査」結果から傷病別・年齢別の入院日数をみてみましょう。
傷病全体、全年齢の平均入院日数は29.3日となっています。
傷病別でみると、アルツハイマー病が252.1日と非常に長くなっています。そのほか入院日数が長くなる病気は、脳血管疾患78.2日、結核54.1日、慢性腎臓病47.9日などです。
年齢階級別で見ると、一部の病気に0~14歳の入院日数が長くなるものがあることを除くと、おおむね年齢が上がるほど入院日数が長くなる傾向にあります。
■傷病分類別・年齢階級別の平均在院日数
注:1) 平成29年9月1日~30日に退院した者を対象
2) 総数には年齢不詳を含む
(出典)厚生労働省「平成29患者調査」より
2-2. 入院日数の短期化
同じく厚生労働省の患者調査より入院日数(傷病全体の平均在院日数)の年次推移をみてみると、平成2年の44.9日をピークに、その後3年ごとの調査のたびに入院日数は短くなる傾向にあります。医療技術の進歩による入院日数の短期化や入院治療から通院治療への移行、診療報酬制度の改定などが、その要因として考えられます。
注:1) 各年9月1日~30日に退院した者を対象
2) 平成23年は、宮城県の石巻医療圏、気仙沼医療圏および福島県を除いた数値
(出典)厚生労働省「平成29患者調査」より
3. 入院に備えた医療保険の入り方
医療保険の主な保障として入院給付金があり、医療保険に入るときには入院給付金を日額いくらにするかという決め方をします。しかし、入院給付金についてはもう一つ重要なことを決めなければなりません。それは入院給付金の支払限度日数です。
3-1. 1入院の支払限度日数の選び方
入院給付金には、1入院につき何日まで支払われるかという限度日数があります。この支払限度日数は保険商品によって違いがあり、一般的に30日型、60日型、120日型などがあります。
医療保険に入るときに、この支払限度日数が何日になっているかをあまり意識せずに加入する人もいますが、万一入院した場合に入院日数分をきちんと保障してもらうために、加入前に確認しておく必要があります。
結論から言うと、60日型を基準にしつつ、ある程度長期の入院にも備えられるようにするなら120日型くらいあると安心です。
それでは、その理由を順を追ってみていきましょう。
3-1-1. 最低でも60日はあった方がよい
1入院の支払限度日数をどう選ぶかは、1章でみてきた入院日数のデータが参考になります。
傷病全体の平均は29.3日なので30日型でよい気がしますが、平均ということはこれよりも長くなる場合も十分にあるということです。
例えば、脳血管疾患78.2日、結核54.1日、慢性腎臓病47.9日などのように病気によっては平均入院日数が長いものがあります。そうなると、30日型ではちょっと心もとない気がします。
現在、一般的に売られている医療保険は60日型が多いですが、いろいろな病気に備えるためには、やはり最低でも60日はあった方がよさそうです。
3-1-2. 長期入院リスクに備えるなら120日くらいあると安心
それでは、60日型では対応できないような長期入院についてはどう考えたらよいでしょうか?
患者調査の結果を見ると、入院日数が60日を大きく超える可能性がありそうなのは脳血管疾患78.2日、アルツハイマー病252.1日です。また上記表には記載していませんが精神疾患による入院も100日を超えるような結果となっています。
どんな入院にも必ず対応できるようにと考えると、支払限度日数をどこまでも長くしなければなりません。しかし、そうなると保障は厚くなりますが、その分保険料も高くなっていきます。したがって、どこかでバランスを取る必要があります。
アルツハイマー病や精神疾患は、症状が重く入院しなければならない状況であればとても長い入院が必要になることは想像できますが、罹患したからといって、必ず入院が必要となるわけではないでしょう。そうなると、何がなんでも考慮しておかなければならないとはいえなさそうです。
一方、次に長期入院となる脳血管疾患については、日本人の死因上位の病気であり高確率で入院をともなうことになりそうなので、できれば保障を考慮しておきたいところです。
これらのことを踏まえると、長期入院に備えるには、入院給付金は120日型くらいはあったほうが安心といえます。
3-2. 入院給付金のトータルの支払限度
入院給付金には1入院の支払限度日数とともに、保険期間中にトータルで何日まで支払うかという限度も決まっています。これについては、現在良く売られている医療保険ではおおむね1,000日程度となっている商品がほとんどです。このくらいの日数があれば特に問題はないでしょう。
4. まとめ:入院給付金は60日型を基本に、安心を求めるなら120日型を!
厚生労働省の患者調査によると、平均入院日数は29.3日です。また入院日数は年々減少する傾向にあります。
このような統計データから判断すると、医療保険の入院給付金は60日型であれば多くのケースに対応できるといえます。そして脳血管疾患などで長期の入院になるケースまで考えるなら、120日型にすると安心できます。ただし支払限度日数が長くなれば保険料は高くなりますので、このあたりは、長期入院のリスクと保険料のバランスをみて判断するとよいでしょう。
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