出国のたびに1,000円!海外旅行でかかる国際観光旅客税とは?

2022-04-06

https://www.kurashino-okane.com/social-security-tax/inter-tourist-tax/

2019年1月から日本を出国するときに1人あたり1,000円の税金がかかることが決まりました。

この税金を、国際観光旅客税といいます。

出国時に課税されるため、日本から海外旅行へ行く日本人はもちろんのこと、海外から日本に来た観光客が帰るときにも課税されます。

夏休みや年末年始などの大型連休を利用して海外旅行に出かける方も多いと思いますが、日本を出国する2歳以上の旅行者全員が対象となりますので、家族の人数が多いほど負担額も増えます。

海外旅行や出張へ行くときは、ぜひ参考にしてください。

1. 国際観光旅客税とは?

国際観光旅客税とは、日本から出国する2歳以上の人に課税される税金です。

航空機代や船代に、航空会社や船舶会社が1,000円を上乗せして徴収します。

1-1. 適用時期

2019年1月7日以降の出国から適用されます。

※なお、一時的ではなく継続的に徴収される国税となります。

1-2. 課税額

1,000円

※大人も子どもも2歳以上の人に同額が課税されます。

2. 国際観光旅客税を課税される人・されない人

国際観光旅客税は、日本から出国する人にかかる税金ですが、一部に課税されない人やケースがあります。

2-1. 課税される人

国籍を問わず、船舶または航空機により日本から出国する2歳以上の人

2-2. 課税されない人

国際観光旅客税が課税されないのは、2歳未満のこどもや飛行機の乗り継ぎで1日以内の短時間の滞在をした人などです。詳細については以下の表をご覧ください。

■課税されない人

課税されない人判定
2歳未満のこども非課税
トランジット(乗継)が入国より24時間以内の人
外国間を航行中に、天候などの理由により日本に緊急着港した人
日本から出国した後、天候などの理由により外国に寄港することなく日本に戻ってきた人不課税
遠洋漁業に従事する人や、船舶または航空機の乗組員
公用船又は公用機(政府専用機等)により出国する人
強制退去者など
日本に派遣された外交官、領事官など(公用の場合)免税
国賓など
合衆国軍隊の構成員及び国連軍の構成員など(公用の場合)

 ※非課税=課税対象ではあるが例外/不課税=課税対象ではない/免税=課税対象ではあるが主に国際的な取引のため例外

3. 税金はチケット(旅券)代とともに支払う

国際観光旅客税は、チケット(旅券)代と合わせて、航空会社や船舶会社へ支払います。

そのため、税金の納付の手続きは原則として航空会社や船舶会社が行い出国者が役所で納付する等の手続きを行う必要はありません。

なお、あまりない事例かと思いますがプライベートジェットなどを使用して出国する場合などは、出国のために飛行機や船舶へ乗る前までに、国へ直接納付する必要があります。

4. 国際観光旅客税の目的

2019年1月7日に国際観光旅客税の適用を開始した場合、2018年度内(2019年1月7日~2019年3月31日)の訪日外国人・出国日本人は約600万人と想定されるため、政府の歳入は総額60億円を見込んでいます。

また、政府はオリンピック開催年である2020年には訪日外国人を4,000万人にするという目標を掲げているので、それが実現できれば訪日外国人の税収だけで約400億円になります。

その財源は何に充当されていくのでしょうか。

■訪日外国人・出国日本人の推移

旅行者数
訪日外客数(人)伸率(%)出国日本人数(人)伸率(%)
2010平成22年8,611,17526.816,637,2247.7
2011平成23年6,218,752△27.816,994,2002.1
2012平成24年8,358,10534.418,490,6578.8
2013平成25年10,363,9042417,472,748△5.5
2014平成26年13,413,46729.416,903,388△3.3
2015平成27年19,737,40947.116,213,763△4.1
2016平成28年24,039,70021.817,116,4205.6

出典:日本政府観光局(JNTO) 年別 訪日外客数・出国日本人数・国際旅行収支(IMF方式)の推移

4-1. 税金の使いみち

東京五輪・パラリンピックが開催される2020年には、訪日する旅行者を4,000万人とする目標を政府は掲げており、国際観光旅客税は日本への旅行者が増えることに対応するために使われます。税収は3つの分野に整理され、2018年度の具体的な活用方法は下記のようになっています。

①ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備

・最新技術を活用した顔認証ゲート税関検査場電子化
・ゲートの整備などによるCIQ体制(税関・出入国管理・検疫)の整備
・ICT(情報通信技術)などを活用した多言語対応
・旅行安全情報等に関する情報プラットフォームの構築

②日本の多様な魅力に関する情報の入手の容易化

・JNTOサイト(日本政府観光局)などを活用したデジタルマーケティングの実践

③地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備

・文化財や国立公園などに関する多言語解説の整備
・訪日観光における新たな観光コンテンツ整備・VRなどの最新技術を駆使した最先端観光の育成

※(法典)首相官邸 政策会議 観光立国推進閣僚会議決定「国際観光旅客税(仮称)の使途に関する基本方針等について」より

また、2019年度以降は上記①②③の考え方を満たすものとなるよう、毎年度洗い替えが行われます。

国際観光旅客税は、税収観光財源としての適正性を保つため、国家公務員の人件費や国際機関分担金などの経費に充てないことが公表されています。

使いみちの透明性を確保し、無駄遣いを防止するためにPDCAサイクルを循環させることが大切になってくるので、私たち国民は注目をしておきましょう。

4-2. 他の国でも出国するときの税金ってあるの?

日本では新たな税金となる国際観光旅客税ですが、海外での出国時の税金事情はどうなっているのでしょうか。

調べてみたところ、どの国にもある税金ではありませんが、珍しいものでもないようです。また、日本の税額は他国よりも割安であることがわかりました。

■他国の出国税

国名出国にかかる税金日本円
オーストラリア60 オーストラリアドル6,600円
メキシコ30.15 USドル3,317円
ペルー30.75 USドル3,383円
香港120 香港ドル1,680円
タヒチ1822 パシフィックフラン1,822円

※為替レートは1ドル=110円、1オーストラリアドル=82円、1香港ドル=14円、1パシフィックフラン=1円で換算

5. まとめ:国際観光旅客税は観光整備のための税金

国際観光旅客税は、所得税や住民税と異なり、収入に関係なく一律1,000円です。

また、格安航空会社のLCCを選ぶ場合も、大手航空会社などのファーストクラスを選ぶ場合も同様に一律1,000円となります。

海外旅行に行くときの1,000円はそこまで負担に感じることはないかもしれませんが、日本を訪れる外国人を増やすことを目的とした恒久的な税金のため、使いみちが正しいかどうかを私たちも継続してチェックしていきたいところです。

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