高額な医療費の支払いがあったので医療費控除の申請をしたいけど、どんな医療費が医療費控除の対象になるのかがわからず、医療費控除が使えるのかどうかで迷ってしまっているのではありませんか?
ここではそんなあなたのために、国税庁の見解を元にして、いろいろな費用ごとに医療費控除の対象になるかどうかを説明しています。例もあげつつわかりやすい言葉で説明していますので、申請に迷ったときには、ぜひ参考にしてみてください。
もしここで調べても不明な場合は、直接税務署に聞いてみるのも簡単な解決策になります。お近くの税務署を検索できるページへのリンクもあわせてご案内していますので、こちらもご利用ください。(税務署の連絡先情報はこちら)
目次
1. 医療費控除の対象になる費用
国税庁のWEBサイトによると、医療費控除の対象となる費用は、家族(生計をともにする配偶者や親族)のために支払った次のような費用が対象になるとされています。
ただし、病状などに応じて一般的な医療費の水準を著しく超えた部分の金額は対象となりません。
- 病院や歯科医院での治療費
- 治療のために購入した薬の代金(市販薬でもOK)
- 病院や助産所、介護施設などへの交通費(電車やバスなど)
※急な陣痛でタクシーで病院に行った場合など、電車やバスを使えない事情があるときはタクシー代もOK - 治療や診療のための医師の送迎費
- 治療としてマッサージ、はり、お灸などをした場合の費用
- 事故により首を痛めた場合に国家資格を持つ施術者が治療として行うマッサージ・はり・お灸など
- 入院や自宅療養をしている病人の付添を頼んだ場合の付添料
- 助産師が分娩の介助をした場合の介助費用
- 介護福祉士等が行う喀痰(かくたん)吸引や経管栄養の費用
- たんの吸引、チューブ等による水分・流動食の補給をしてもらうための費用
- 介護保険制度にもとづいて受けた一定の介護サービスの自己負担額
- 領収書に医療費控除の対象となる医療費として記載されている額
- 治療に必要なコルセットなどの医療用器具の購入代・レンタル代
- 治療に必要な義手、義足、松葉杖、義歯などの購入費用
- けがや病気で6ヵ月以上寝たきりとなり医師の治療を受けている場合のおむつ代
- おむつが必要と認められるとき(医師の証明書が必要)
- 骨髄移植や臓器移植のあっせんのための患者負担金
- 骨髄移植推進財団、日本臓器移植ネットワークに支払う患者負担金
※国税庁WEBサイト(No.1122 医療費控除の対象となる医療費[令和3年9月1日現在法令等])より
2. 医療費控除の対象になる?ならない?判断に困りやすい費用
医療費控除の対象になるのか、ならないのかを多くの人が疑問に思ったり判断に困ったりするような費用について細かく基準をみてみましょう。
なお、交通費についてのなる?ならない?は「交通費はどこまで医療費控除の対象?確定申告のポイントを解説!」をご覧ください。
2-1. 入院諸費用のなる・ならない
入院したときにかかる諸費用のうち、医療費控除の対象となるもの、ならないものは以下のようになります。
<入院諸費用のうち、対象になる費用・ならない費用の例>
対象になる費用 | 対象にならない費用 |
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2-2. 歯の治療費のなる・ならない
歯の治療を受けた場合の費用のうち、医療費控除の対象となるもの、ならないものは以下のようになります。
<歯の治療費のうち、対象になる費用・ならない費用の例>
対象になる費用 | 対象にならない費用 |
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また歯科ローンを組んで治療して、その後分割で返済していく場合の治療費は、ローンを契約した年の医療費控除になります。
2-3. 出産費用のなる・ならない
出産にともなう費用のうち、医療費控除の対象となるもの、ならないものは以下のようになります。
<出産費用のうち、対象になる費用・ならない費用の例>
対象になる費用 | 対象にならない費用 |
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2-4. 視力を矯正する費用のなる・ならない
視力を矯正するための費用のうち、医療費控除の対象となるもの、ならないものは以下のようになります。
<視力を矯正する費用のうち、対象になる費用・ならない費用の例>
対象になる費用 | 対象にならない費用 |
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2-5. 人間ドック・健康診断費用のなる・ならない
人間ドックや健康診断の費用は原則医療費控除の対象になりません。しかし、病気が発見されたときなど医療費控除対象になる場合があります。
<人間ドック・健康診断のうち、対象になる費用・ならない費用の例>
対象になる費用 | 対象にならない費用 |
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2-6. 介護サービスのなる・ならない
介護保険が適用される介護サービスの自己負担費用のうち、医療費控除の対象となるもの、ならないものは以下のようになります。
<介護費用のうち、対象になる費用・ならない費用の例>
対象になる費用 | 対象にならない費用 |
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3. それでも判断できないとき
医療費控除の対象となる費用について、国税庁のホームページの案内をもとに、できるだけ詳しく説明してきました。しかし、そのほかの費用などで対象になるかならないか迷うこともあるでしょう。その場合はネットで解決することは難しいので、少し面倒かもしれませんが税理士か税務署へ問い合わせるしかありません。
個人事業主の方やご家庭の所得税・相続税などの申告で担当の税理士さんがいる方は、税理士さんに確認してみましょう。
一般の会社員や公務員の方などで確定申告と無縁の方の場合は、そのためだけにわざわざ税理士に相談するのは大変なので、お住まいのエリアの税務署に確認するとよいです。なお、確定申告の時期は電話がつながりにくくなるので、これはどちらかなと判断に迷う医療費が発生したときなどにその都度確認しておくとよいでしょう。
4. まとめ:治療や療養のための費用かどうかがポイント
国税庁のホームページで、医療費控除の対象となる事例としてあがっているものを詳しくとりあげました。対象になる・ならないについては、非常に細かく線引きされています。
細かい事例をあげようとするとキリがなくなってしまいそうですが、こういうときは逆に大きな視点で考えてみることも大切です。
原則的には以下のような考え方があると思われます。
- 病気やけがなどを治療するための医療費が対象
- 治療費でも、病状に対して一般的な水準より著しく高い額は対象にならない
- 直接、治療と関係ない費用は対象にならない(謝礼や身の回り品購入費など)
- 美容などが目的の場合は対象にならない
- 贅沢したり、快適になるための費用は対象にならない
いずれにしても、家族の中にこのような医療費を支払った人がいた場合は、医療費控除申請のために必ず領収書を保管しておくことが大切です。
そのほか医療費控除に関する情報は、こちらのページもご参照ください。
・「交通費はどこまで医療費控除の対象?確定申告のポイントを解説!」
・「医療費控除とは?|3分でわかる節税のしくみと申請までの手順」
・「超簡単な医療費控除の計算方法|申請書類を使ったラクラク計算」
・「医療費控除を申請するために必要な書類とその書き方」
※本ページの医療費控除の説明は平成30年4月現在の法令にもとづいて記載しています
<確定申告特集>
↓ 確定申告で申請できる各種控除の説明ページをまとめました ↓
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