養老保険の解約返戻金の推移を検証!途中で解約したら損するの?

  • 公開日:2020年03月09日
    最終更新日:2022年04月06日
  • 生命保険

2022-04-06

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養老保険をもしも途中解約したら解約返戻金はあるのでしょうか?

ここでは養老保険のしくみと、解約返戻金の関係についてみていきます。解約しなくてもいい方法があるか?といった疑問にもお答えします!

1. 養老保険とは?

まずは、養老保険のしくみからみていきましょう。

1-1. 養老保険のしくみ

養老保険とは死亡保障額と満期受取金額が同額の保険です。満期には満期保険金を受け取って保障が終了します。一般的に年齢が若い人ほど返戻率は高くなります。ほぼ貯蓄に近い商品のため、保険というよりは貯金目的で加入するのに適しています。

例えば、必要となる死亡保障は他の保険商品(定期保険や収入保障保険など)で確保しておいて、貯蓄を目的に、第二の保険として活用する、といった活用方法が有効です。

1-2. 養老保険のしくみと解約返戻金の推移

養老保険のしくみと解約返戻金の推移は、次の図表を見ていただくとわかるように、支払う保険料の合計に対して、途中の解約返戻金は下回ることになる場合が多いです(年齢や性別、経過年数などにより異なります)。

とくに契約後間もない時期は解約返戻金が非常に低くなりますので注してください。そのため、養老保険は基本的に、満期となる最後まで支払い続けることを前提に活用することに適しています。

2. 養老保険の種類と満期保険金や解約返戻金の違い

養老保険にはいくつかの種類があり、その種類によって、解約返戻金や満期保険金の特徴の違いがあります。種類別にみていきましょう。

2-1. 平準払いと一時払い

養老保険には、毎月(または半年、年払いも含む)、積み立てていく形で保険料を支払っていく平準払いタイプの商品の他に、加入時に保険料を一括払いする一時払いタイプの商品もあります。一時払いの商品は、まとまった資金の運用に適しています。ただし、契約後間もない時期に解約をすると、元本を下回る場合もありますので注意してください。

2-2. 円建てと外貨建て

養老保険には、円建の商品と、外貨建の商品があります。外貨建保険とは、外貨で保険料を払い込み、外貨で保険金や解約返戻金などを受け取るしくみの保険です。現在、外貨には「米ドル」「ユーロ」「豪ドル」などがあります。

外貨建て保険には次のような特徴があります。

  • 外国の予定利率が適用
    その国の金利が日本よりも高い場合には予定利率が高くなるメリットがあります。
  • 為替リスクを伴う
    支払う保険料も、また受取る保険金や解約金も、その時の為替相場の影響を受けます。
    満期保険金や解約返戻金を受け取る際に、その時点での為替の影響を受ける点に注意が必要です。(円高の場合は受取額が下がり、円安では増えることになります)

なお、外貨建の養老保険の中にも、積立式の平準払いタイプの商品と、一括で支払うまとまった資金の運用に適した一時払いのタイプの商品があります。用途に応じて使い分けるといいでしょう。

また外貨建保険は為替相場の影響により、元本割れのリスクもあることを十分に理解して利用する必要があります。そのため、分散投資の一部として活用することが効果的です。

2-3. 定額保険と変額保険

養老保険には、運用の内容によって次の2種類のタイプがあります。

2-3-1. 定額保険(定額養老保険)

契約時に定めた保険金額が保険期間中一定している保険です。将来の受取金額(満期保険金や解約返戻金)の推移があらかじめ確定しているため、将来的な安心感があります。ただしその分、低金利時代はとくにリターンが小さくなることが特徴です。

2-3-2. 変額保険(変額養老保険)

資産を株式や債券を中心に運用し、特別勘定の運用の実績によって、保険金や解約返戻金が増減する保険です。運用結果によって、増える場合も減る場合も両方あるハイリスクハイリターン商品で、インフレリスク回避の効果を期待できます。

変額養老保険の中には、2-1で説明した「平準払い」の商品と、「一時払い」の商品があります。

変額養老保険は元本割れのリスクもあることを十分に理解して利用する必要があります。そのため、分散投資の一部として活用することが効果的です。

※変額保険には、養老保険のほかに、終身保険や個人年金保険があります。

3. 養老保険の満期保険金や解約返戻金にかかる税金について

養老保険は、満期保険金や解約返戻金を受け取る時期や契約形態などによってかかる税金が異なります。ここでは、契約者=受取人の場合について、受け取る時期や受け取り方による税金の違いを紹介していきます。

3-1. 一時払いタイプで保険期間5年以内の場合は源泉徴収

一時払養老保険などで、保険期間等が5年以下のものおよび、保険期間等が5年超で5年以内に解約した場合の解約返戻金には、源泉分離課税が適用されるため、源泉徴収だけで課税関係が終了します。

3-2. 保険期間5年以上または5年経過後の解約の場合は受け取り方で違う

5年以上経過後に受け取る満期保険金や解約返戻金は、受け取りの方法により課税内容が異なります。ただし、払込保険料の総額と受け取る保険金の差額に対して課税されることや、控除額があることなどから、円建て商品の場合には現実的には全く課税されないか、課税されたとしてもごくわずか、ということになる場合が多いです。

3-2-1. 満期保険金または解約返戻金を一時金で受領した場合は「一時所得」

満期保険金や解約返戻金を契約者(保険料負担者)が受け取った場合は一時所得としての課税となります。

一時所得の金額は、その満期保険金等以外に他の一時所得がないとすれば、受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料又は掛金の額を差し引き、さらに一時所得の特別控除額50万円を差し引いた金額です。課税の対象になるのは、この金額をさらに1/2にした金額です。

つまり差額が50万に満たない場合は課税されないということです。

■一時所得の計算式

([受け取った満期保険金または解約返戻金]―[支払った保険料の総額]-50万円)×1/2
 ※上記の金額に、所得税がかかることになります

3-2-2.満期保険金を年金で受領した場合は「雑所得」

満期保険金を年金で受領した場合には、公的年金等以外の雑所得になります。雑所得の金額は、その年中に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料または掛金の額を差し引いた金額です。なお、年金受け取りの場合の税金は、原則として源泉徴収されます。

養老保険の満期保険金や解約返戻金にかかる税金については以下のページもご参照ください。
満期保険金にかかる3パターンの税金と確定申告の必要性
解約返戻金にかかる税金を簡単に判別する方法

4. やむを得ず解約を検討する前に

養老保険に加入中に、保険料は支払えない、または資金が必要となったなど、意に反して養老保険を解約する必要が生じた場合、解約以外にも方法がありますので覚えておいてください。

4-1. 保険料が払えないときは払済保険に

以降の保険料の支払いが難しくなった時には、払済保険に変更する方法があります。払済保険とは、以後の保険料の支払いをやめて、今まで支払った保険料による責任準備金で一定の保障額の保険に変更する制度のことです。現在の保険に積み立てられているお金で一括払いをして、新しい保険に変える、というイメージです。

払済保険にすると、以降の保険料支払いは終了し、保障内容は小さくなって、特約は消滅となります。

払済保険に変更後は、一定期間内であれば、復旧という形で元に戻すことができる場合があります。実際には保険会社や商品より異なっており、払済保険を元に戻すことができない場合もあります。

払済保険のしくみやメリット・デメリットは以下のページをご参照ください。
・減額と払済保険|保障を残して保険料の負担を減らすテクニック>2.保険金額を減らして保険料の支払いを中止する「払済保険」

4-2. 一時的にお金が必要なときは契約者貸付を

契約者貸付を受けられる場合があります。とくに長く継続している養老保険契約の場合は、安易に解約するよりも、契約者貸し付けなどを活用することで、満期まで継続して満期金を受け取る方がメリットになる場合もあります。

途中解約では一般的に、それまで積み立てられた金額の7割程度しか受け取ることができないことが多いので、解約する場合と、契約者貸し付けを受ける場合の受取額の違いなどを比較検討してみるといいでしょう。

契約者貸付のメリットや注意点は以下のページをご覧ください。
3分でわかる!契約者貸付のメリットと3つの注意点

5. まとめ: 養老保険は途中解約しない方がよい

養老保険には、注意点として以下の4つがありますので参考にしてください。

  • 貯蓄目的商品のため、死亡保障を目的とする場合には保険料が高いです
  • 途中で解約すると、解約返戻金が払込金額を下回る場合があります
  • 養老保険は、最後まで支払い続けることを前提に活用することに適しています
  • 満期が来ると保障が終了します
森田 直子(保険ジャーナリスト|有限会社エヌワンエージェンシー代表)執筆:森田 直子(保険ジャーナリスト|有限会社エヌワンエージェンシー代表)
保険・金融専門の執筆家で庶民感覚のわかりやすい文体に定評がある。保険WEBサイト、経済紙記事、書籍「就業不能リスクとGLTD(共著)」ほか執筆実績多数。保険業界メールマガジンinswatch発行人。

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※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。