結婚・出産などのタイミングで、多くの世帯が関心を寄せるものの一つが「保険」。
「もしもの備えに……」と保険加入を検討するものの、種類は多岐に渡り、正直どれを選んだらいいのかわからないというのが、子育て世代のママたちの本音ではないでしょうか。
「保障は手厚い方がいいけれど、保険にお金をかける余裕がない」
「将来に備えて、時間とお金を投資して、賢く保険で貯蓄をしたい」
保険加入においては、各家庭の状況が異なる分、ベストな形はそれぞれ。そのため、正しい情報を把握することがまず大切なのです。
そこで今回から、ママ目線で保険に関する素朴な疑問を解消する「ママがFPに聞く!シリーズ」(全7回シリーズ)をスタートします!
講師には、ファイナンシャルプランナーでありながら、「がん治療とお金」のコンサルティング会社「株式会社M&Fパートナーズ」を設立し、がんファイナンスアドバイザーとしても活躍する高橋義人さんを迎え、保険の悩みをズバリ聞いてみました!
シリーズ初回は、それぞれの家庭に合った「保険選びのコツ」について。保険の加入を検討しているママたちには、まさに目からウロコの役立つ知識をご紹介します!
目次
1.そもそも保険加入は絶対必要なの?
ママの中には、必ずしも全額戻ってくる保証のない保険に加入するよりも、毎月コツコツ貯蓄にまわした方がよいのでは?と考える人もいるかもしれませんね。預貯金と比べた場合の保険のメリットとは一体何なのでしょう?
「例えば、毎月1万円を預貯金に回しても、1年でたった12万にしかならないですよね。しかし保険の場合、毎月1万円支払うことで、たとえ1回しか保険料を払わなかったとしても、死亡が発生した場合、1,000万円以上(※)の保険金を受け取ることができることもあるんです」と高橋さん。
(※)年齢・性別・保険金期間・加入する保険会社等によって受け取ることのできる保険金額は異なります
だからといって、全員が保障を受けるために必ず保険に加入すべきかというと、答えはノー。まずは保険選びの柱となるポイントをおさえてこそ、あなたにとって必要な保険が見えるということなのです。
1-1.保険選びをシンプルに考える3つのポイント
保険は難しいと言う人が多い中、保険を考える基本は大きくわけて3つあるといいます。
1つ目は、夫や妻の「死亡のリスク」に備える死亡保障。
2つ目は、家族の入院やがんや介護など「生存中のリスク」として考えられる医療保障。
3つ目は、「老後のリスク」に備える老後の生活資金。
これらの3つのポイントの中で、状況に合わせて重要度の優先順位をつけることで、自然と必要になる保険がわかってくるということなのだそう。
1-2.民間の保険は「公的保障で足りない部分を補うもの」という考え
実際に保険を選ぶとなった時、家族構成や家族の状況によって準備しなければならない保険は異なってきます。そのため、家族の現在の状況、そして未来を想定して選定していくことがポイント。
また日本は公的な保障制度が非常に充実しているため、もしもの場合に国からの保障を受けることができます。その一つが、夫が死亡した場合に残された家族に毎年一定の額が国から支払われる「遺族年金」という制度。支給要件が複雑なため、ここでは概要だけ把握していただければと思います。
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、加入していた年金の種類(国民年金もしくは厚生年金)・死亡時の家族構成・平均年収・年金の加入期間等により、受け取ることができる金額は変わります。残された遺族(配偶者や子)が給付対象となり、遺族厚生年金は独身者の場合は父母等が対象になることもあります。
実際の支給金額の目安を聞いてみると、高橋さんいわく、「夫が厚生年金に加入しており、18歳未満の子どもが2人いる場合、ざっくり年間180万ほど支給される」といいます。
さらに子どもたちが支払い要件から外れた場合でも、残された妻に年間100万円程度支給されることもあるそう。
そのほかにも、企業によっては「死亡退職金」や「弔慰金」が支払われるなど、死亡のリスクについてさまざまなサポートを受けることができ、これらは医療保障についても同様なことがいえます。
そのため、保険に加入する際は、今後想定される必要保障額を計算した上、そこから公的保障額等を差し引き、それでも足りない金額を民間の保険で補うという考え方が保険加入の基本となります。
2. 30代、40代の子育て世代で保険選びのコツをレクチャー
保険加入のポイントをおさえたところで、家族構成を想定して、加入すべき保険タイプについて高橋さんにおうかがいしました。
ここでは子育て世代をモデルケースとし、妻や夫、子どもの年齢に合わせ、どのリスクに優先順位をつけ保険選びをすべきかを、ご紹介していきます。
■30代こども2人(0歳・2歳)の場合
まず扶養する家族ができた段階で、一家の生活を支える夫や妻の死亡リスクに備えて加入を考えるべきは、死亡保険。かなりの最重要リスクとして、しっかりカバーする必要があります。
次に、生存中のリスク(病気など)に備えるための医療保障について。死亡保障ほど重要ではないですが、病気の内容によっては健康保険対象外の治療を受ける可能性もあるため、リスクに備えてがん保険などに加入しておくのがベター。
特に女性特有の病気である子宮頸がんの発症年齢のピークは、30歳代前半、乳がんについても30代後半から急激に増加し、40歳代後半がピークとなります。
また、この時期はこどもが小さく家族へのダメージも大きいため、ママの医療保険への加入は大切になってきます。
老後の備えについては、本来は加入検討すべきものではありますが、まずは死亡保障を手厚くする必要があるため、無理をせず、優先度の高いものからの加入をおすすめします。
その他、こどもが0歳と2歳と小さい時期なので、今後の教育費に備えて、この時期は積立型の保険に加入するタイミングでもあります。
■40代既婚こども2人(12歳・15歳)の場合
こちらも上記30代世帯と同様に死亡保障はかなり手厚くしておく必要があります。
また、病気など生存中のリスクにも備えることも必要ですが、30代に比べて老後が近づいてきているので、老後のリスクに備えた保険への加入も積極的に考えるようにしましょう。
こどもたちの成長につれ、必要な保障金額も変化していくため、進路決定をふまて、保険の見直しも必要になってきます。
例えば、公立高校への入学を想定していたところ、私立高校へ進路変更を行なった場合など、想定以上に出費がかかることになる場合などは、一定期間の死亡保障に特化し、保障額が年々少なくなる分、保険料も安い「逓減(ていげん)定期保険」に追加加入するのも1つの方法です。
この時期からは、自身の老後資金とこどもへの保障額の見直しをそろそろ考えるタイミングにもなってきます。
3.まとめ:保険は時間をかけて付き合う“一生のパートナー”
保険とは、今の状況を見ながらベストなプランを選んでいくものですが、未来がすべてわかるわけではないため、「多少の振り幅に応じて都度見直しをしながら、手入れをしていくもの」だと、高橋さんは言います。
ライフプランをしっかり立てた上で、まずは基本となる一生涯持っていても損のない保険に加入します。その上で、状況に応じて積み木を積み上げるようにして、都度必要な保険を足したり、必要なくなった保険を解約したりして、調整しながら保険とうまく付き合っていくのがポイント。
また保険は、長い時間をかけ、お金を保険会社に委ねることになるため、いかに信頼度の高い会社と契約を交わすかが、とても重要になってきます。そのため「30年越えてもその保険会社はあるのか?」を念頭におきながら、保険選びをすることも忘れないようにしましょう。
さらに、生活状況に変化が生じた時など、密に連絡がとれる保険の募集人との巡り合わせも大切なポイントになるため、「この人なら信用できる」という人を見つけることもよい保険選びには欠かせない要素なんだそう。
子育て世代の方はもちろん、それ以外の方にもあてはまることなので、ぜひ今後の保険選びの参考にしてみてください!
次回は、シリーズ2回目「老後資金に備えるための保険活用術」について引き続き高橋さんにお話をおうかがいしていますので、ぜひお楽しみに♪
※記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。
※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。