「保険にも入ったし、これでひと安心」なんて多くの人は思いがちですが、実は保険は加入してからが重要。
例えば、気づかないうちに「不要に高い保険料を支払っていた」、「保障内容が足りなくなっていた」という状況に陥ってしまっていたらどうでしょう?
このような事態を防ぐためにも、「保険の見直し」は大切といわれます。
しかしひとえに見直しと言われても、いつ、どのように見直すべきか保険入門者にはなかなか判断するのが難しいものですよね。
そこで前回に引き続き、ファイナルプランナーで、「がん治療とお金」のコンサルティング会社「株式会社M&Fパートナーズ」の代表取締役でもある高橋義人さんに今回のテーマ「保険の見直し」について、お話をおうかがいしました。
目次
1.そもそもどうして保険は見直しが必要なの?
保険を見直す大きな理由の1つが「ライフステージの変化」にあります。
自分にとって完璧と思える保険に加入していたとしても、状況が変化すれば、適した保障内容も変わってくるのが保険の特質です。
そのため、「生活状況に変化が生じた時はすぐに相談してください」と高橋さん。
例えば、独身だった人が結婚し、こどもができた場合、守るべき家族が増えたことで必要な保障内容も変化します。さらに小さかった子どもたちが、高校・大学進学をひかえ、出費がかさんでくるタイミングにも、生活を保障し家計を守るために保険の見直しが必要になってくるのです。
また、保険とは保険料を支払って保障を買う“お買い物”。
仮に月々数万円の保険料を20年間支払い続けると、合計で1千万円以上支払うような大きな買い物にもなり得ます。そのため、都度慎重に保険内容を見直すことで、無駄なくニーズに合った的確な保険に加入し続けることができるのです。
2.こんな状況になったら!見直すべきタイミング
そこで、実際にどのタイミングで保険を見直すべきか高橋さんに聞いてみたところ、下記1~8を挙げていただきました。
※1~7のライフイベントについては、ご覧になりたい項目をクリックすると、それぞれの説明に移動します
1.就職
2.結婚
3.出産
4.住宅の購入
5.こどもの独立
6.転職
7.離婚
8.その他、生活状況に変化が生じた時
その中でも一番重要な項目は、「8.その他、生活状況に変化が生じた時」だと高橋さんは言います。
大きなライフステージの変化だけではなく、家族の状況に変化が生まれた時に都度、見直しを行うことが必要なのだそう。
そのためお金に関わる変化が生じた時は、保険の募集人と密に連絡を取り、相談することが大切になってきます。
では次に、ライフイベントごとの見直しポイントをご紹介します。
2-1.見直しタイミング1「就職」
新社会人として新たなスタートを踏み出したばかりの若い世代は、高額な死亡保障は必要ありませんが、病気や事故などの生きている間のリスク(生存中のリスク)を考えて、無理のない予算で加入できるような医療保険やがん保険、就業不能保険などを活用し、万一のリスクに備えておくのがベスト。
「若い頃は保険料が安いため、将来に備えて一生持っていて良い保険に加入しておくのも1つの考え」と高橋さん。
「一生持っていてもいい保険」とは、若い頃も、年をとってからも変わらず必要となる医療保障やお葬式代にも使うことが出来る少額の死亡保障のこと。
保険料が安いこの時期に、一生のベースになる保険に加入しておくのもおすすめだと言います。
2-2.見直しタイミング2「結婚」
結婚のタイミングでは、一般的には死亡リスクに対する大きな備えは不要ですが、万が一、死亡が発生した場合に備えて、一般的なお葬式代300万円程度を用意しておくことが最低限必要です。
さらに専業主婦の場合は、夫が死亡後に1人で生活できるようになるまでの当面の生活費程度の金額を夫の生命保険にプラスしておくとより安心でしょう。
また医療保険・がん保険は夫婦でそれぞれ加入しておくのがベスト。
特に妻の場合、妊娠中に医療保険に加入しようとすると、保障に条件がついたり加入ができないこともあります。出産時に帝王切開となった場合などは、医療保険から給付金を受け取ることができるため、出産時のリスクを考慮するなら妊娠前に見直しておくのがよいでしょう。
加えて老後資金については、早めの加入がポイントになります。
若くて貯蓄の余裕がない場合は、死亡保障とともに貯蓄性のある終身保険、例えば「低解約返戻金型終身保険」、「変額終身保険」、「外貨建て終身保険」に加入するのがおすすめ。
その場合、30歳男性が300万円の保険に加入して60歳までに保険料を払い終えれば、その後は支払った保険料の合計額と同等かそれ以上の額を貯めることができる保険もあるため、ぜひ見直しのタイミングにチェックしてみてください。
⇒出産時の保険について詳しくは「帝王切開は保険適用!その費用と民間の医療保険での備え方」
⇒貯蓄性のある保険について詳しくは
「3分でわかる!低解約返戻金型終身保険の基本と4つの活用法」
「すぐわかる!変額保険のメリット・デメリットと上手な活用法」
「リスクがこわい!?ドル建て終身保険選びの3つのチェックポイント」
2-3.見直しタイミング3「出産」
出産時の見直しポイントは、夫の死亡保障の内容。
万が一に備えて、子どもと妻のための生活費と、子どもが大学を卒業するまでの教育資金の確保が必要となります。
そのため、公的年金や夫の勤めている企業の福利厚生によって支給される手当を計算し、足りない金額を保険でカバーするようにしましょう。
さらに、妻に関しては夫に十分な収入があれば、大きな死亡保障は必要ありません。しかし、子どもが小さいうちに妻が死亡した場合、夫がフルタイムで働くためにベビーシッターを雇わなければならないケースも考えられます。そのような費用を用意するために一定期間妻に死亡保障をプラスするのも1つの考えです。
また、出産後、学資保険に加入し、教育費を貯蓄する人も多いようですが、「現在は返戻率が低くお金が期待していたように増えない場合もあるため、今はわざわざ学資保険に加入する必要はないかもしれませんね」と高橋さん。
計画的に預貯金で貯めるか、保険を活用するならば、低解約返戻金型の終身保険を学資保険代わりに使うこともできるそう。
この保険は、長期間(例えば15年以上)継続して加入することでお金を増やすこともでき、さらに被保険者である親が死亡した場合、保険金が出るため、支払った保険料額よりも高額な保険金を手にすることができると言います。
⇒終身保険を使った教育資金の準備法については「3分でわかる!低解約返戻金型終身保険の基本と4つの活用法>4. 学資保険代わりに教育資金を貯める方法」
2-4.見直しタイミング4「住宅の購入」
住宅を購入する際、住宅ローンを組んで金融機関から購入資金を借り入れるケースが多いかと思いますが、その際、金融機関の貸し出し条件として義務付けられている(一部の住宅ローンでは必須にはしていません)団体信用生命保険に加入することになります。
団体信用生命保険とは住宅ローンの契約者が万が一死亡したり、高度の障害になり、返済不能な状態になった場合、保険金によって住宅ローンの残額(残債)が返済されるという保険。
その保険に関連して、住宅を購入した際の見直しポイントを2点、高橋さんに教えていただきました。
1つ目は、団体信用保険の保障範囲をしっかり確認すること。
足りない部分を他で補うためにも、どこまでをカバーし、どこが足りないかを把握することが必要になります。
2つ目は、今までの保険が賃貸前提の住居費用を組み入れた保険金額になっていないか確認すること。
既存の保険が賃貸の住居費用(家賃)の保障を組み入れたものであった場合、保険料を軽減することができるので、しっかり確認を行いましょう。
2-5.見直しタイミング5「こどもの独立」
こどもが成長し、独立した後は、家族を守るために必要な死亡保障の額も減ります。
その分、「病気などの生存中のリスクに備えた保険や、老後資金の準備にシフトした保険に見直しを行いましょう」と高橋さん。
個人年金保険や終身保険等の見直しに加え、介護状態になった時のための資金準備も考えておくと安心でしょう。
また医療保険などは、病気のリスクが年々高まり、保険料も年々上がってしまうので、なるべく早い段階で見直しするのがおすすめです。
2-6.見直しタイミング6「転職」
転職によって収入が上がることもありますが下がることもあります。また、収入面以外でも、条件が悪くなるケースも多々あります。
例えば、退職金がある会社から、ない会社に転職した場合は、自分自身で準備しなければならない老後のための資金が増えるため、個人年金保険や終身保険の見直しを行いましょう。
また、死亡退職金や弔慰金がある会社から、ない会社に転職した場合は、死亡保障額を増やすなどの見直しを行うのがおすすめです。
転職したことで収入が減少した際は、現在の生活とのバランスを考え、すぐに担当者に相談し、内容の見直しを行うのがベストです。
2-7.見直しタイミング7「離婚」
離婚して、1人で子育てをしていくのは、金銭面でも不安が大きいものです。しかし、こどもと安心して生活し、無事成人を迎えさせるためにも、保険を活用して経済的な備えを計画していくことは大切です。
そこで、まず考えるべきは、万が一ご自身が亡くなってしまった場合でも、こどもが経済的な負担なく生活するための死亡保障。
定期保険、収入保障保険、逓減定期保険といった保険を検討するほか、医療保険なども充実しておいた方が安心です。
ところが、「日々の生活の暮らしでお金が回らないといった家庭が多いのが現状」だと、高橋さんは言います。
経済的に苦しい場合、保険料を抑えられるように、本当に必要な保険商品だけに単品で加入することで、お得に賢く保険を活用することができるのだそう。
3.知って得する!保険の見直しの注意点
状況が変われば、保険の見直しが必要になることがわかったところで、次は見直しの際の注意点を高橋さんにお伺いしました。
何をポイントに見直しをすべきか、また見直しの心構えについてご紹介します。
3-1.保険料を安くすることより保障の見直しを!
見直しと言えば、「保険料を払いすぎてないか」、「もっと保険料が安くならないか」が気になるところですが、それはそもそも間違い。
「保険の見直しとは、基本、保障の見直しです」と高橋さん。
保険料を安くするために、保障内容を変更することはできるけれど、それでは必要な保障をカバーできないこともあります。毎月支払う保険料も気になるところですが、まず自分自身に適した保険に見直すことを第一に考えましょう。
3-2.見直しとは、「既存保険の解約+新しい保険の契約」ではない!
見直しのコツは、安易に切り替えを行わないことだと言います。
というのも、「古い保険を解約して、根っこから新しい保険に切り替えるのは損をするケースもある」と高橋さん。
つまり見直しとは、既存の保険を解約して、新しい保険に切り替えるというものではないとのこと。
加入時の年齢が高くなるほど保険料も高くなるため、保険料が安い若い時期に加入した保険を、安易に切り替えないほうがいい場合もあります。また、古い保険ほど将来的に得られる戻り金額が大きい場合もあるため、貯蓄性のある保険は安易な切替えは禁物。
何をやめるかを考えるよりも、何を残した方が有効かを考えることが見直しのポイントになってきます。
4.まとめ:保険は加入した後の「見直し」こそが重要!
今回は「保険の見直し」について高橋さんに教えていただきましたが、保険とうまく付き合っていくためにも、いかに見直しが重要であるかがわかりました。
加入したまま、保険を見直すことなく放置していたあなたも、状況の変化に応じて都度相談し、家族を万が一から救う最適な保険プランに加入していたいのではありませんか?
もしそう思われたなら、信頼できて長くお付き合いのできる保険のプランナーさん、ファイナンシャル・プランナーさんを探すことから始めてみましょう。
次回シリーズ4回目は、子どもが生まれた時に入っておきたい保険についてご紹介します。
引き続き、講師に高橋さんを迎え、プレママたちにもうれしい目からウロコの役立つお話をお伺いしますので、お楽しみに!
※記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。
※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。