2017年1月17日に損害保険料算出機構より、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の変更について金融中長官へ届け出が行われました。
これにより2017年4月の契約分から、自賠責保険料が平均で6.9%引き下げられることとなります。
※2020年の値下げ(改正)については下記ページをご覧ください。
「【2020年4月改正】自賠責保険料が平均16.4%値下げ」
目次
1.自賠責保険の値下げは9年ぶり!
今回の改定による値下げは2008年度以来の9年ぶりのこととなります。
自家用乗用車の場合、2年契約で現行より2,010円の引き下げで25,830円になります。
また、軽自動車の場合は1,300円の引き下げで36,920円となります。
■2017年4月からの自賠責保険料(2年契約)
車種 | 改定保険料 | 改定額 | 改定率 |
---|---|---|---|
自家用乗用自動車 | 25,830円 | -2,010円 | -7.2% |
自家用小型貨物自動車 | 29,470円 | -210円 | -0.7% |
軽自動車 | 25,070円 | -1,300円 | -4.9% |
小型二輪自動車(250cc超) | 11,520円 | -2,120円 | -15.5% |
原動機付自転車 | 9,950円 | 80円 | 0.8% |
※離島および沖縄県を除く地域
■2017年4月からの自賠責保険料(3年契約)
車種 | 改定保険料 | 改定額 | 改定率 |
---|---|---|---|
自家用乗用自動車 | 35,950円 | -3,170円 | -8.1% |
軽自動車 | 34,820円 | -2,100円 | -5.7% |
小型二輪自動車(250cc超) | 14,690円 | -3,330円 | -18.5% |
原動機付自転車 | 12,340円 | -70円 | -0.6% |
※離島および沖縄県を除く地域
(出典)損害保険料率算出機構より
2.自賠責保険が値下げされる理由
値下げは私たち消費者にとっては喜ばしいことですが、今回、なぜ自賠責保険は値下がりとなったのでしょうか?
損害保険料算出機構からは値下げの背景、理由についても発表されていますので、ご紹介、ご説明いたします。
2-1.交通事故死傷者数の減少による引き下げ
ここ数年の交通事故死傷者数の減少を背景に、自賠責保険の収支が改善して黒字が見込まれることが、保険料の引き下げが可能となった理由です。
つまり、交通事故が減っていることによって保険金支払いの支出が減っていることから、これまでにたまった滞留資金(※1)で支出を賄えるように改善されているということです。
また、自賠責保険の保険料率は、ノーロス・ノープロフィット(※2)の原則にしたがって算出されるため、滞留資金が黒字となれば、保険料の値下げという形で活用されるというわけです。
これにより、本来であれば保険料率が平均で8.2%の引き下げが可能な状況となっているということです。
(※1) 滞留資金:過去契約分の収支差額の累計と利息の蓄積を合計した額です。
(※2) ノーロス・ノープロフィットの原則:自賠責保険は被害者保護を目的とした強制保険であるため、利潤や不足が生じないように算出されています。これが「ノーロス。ノープロフィットの原則」です。
2-2.消費税の引き上げの影響も考慮して、最終的には平均で6.9%の引き下げに
現行の自賠責保険料のなかの付加保険料率(自賠責事業者等の経費である社費と代理店手数料)のうち、社費は過去に生じていた収支差額を活用して算出していたことと、消費税率を5%として算出していたことから、本来よりも低い水準となっていました。
その後、2014年4月に消費税率を5%から8%へと引き上げられたことによって、黒字によって保険料を引き下げられる部分と、消費税引き上げの影響によるコスト上昇により保険料を引き上げなければならない分を相殺して、最終的に平均で6.9%の引き下げとなったのです。
3.まとめ:自動車の保険料負担の引き下げは任意保険とセットで
わずかながらでも自賠責保険の保険料の値下げは、私たち消費者にとっては助かることです。ただし、自賠責保険の保険料率は世の中の状況(自賠責保険の収支状況)よって今後も変わっていきます。下がることもあれば上がることもあるということです。
自賠責保険は自賠責法(自動車損害賠償保障法)に基づいて必ず加入しておかねばならない保険であるため、どこの損害保険会社で加入しても金額は変わりません。しかし、任意の自動車保険は保険会社によって保険料の高い安いはもちろん、細かい補償内容やサービス内容も違ってきます。
したがって、自動車保険全体の保険料負担額は任意保険もあわせて削減するように努力する必要があります。任意の自動車保険は、複数の保険会社の商品をよく比較して自分に合った保険を選ぶとよいでしょう。
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