20代の時は、自分に万一のことが起こるかもしれないということを、なかなか現実的には考えられない時期かもしれません。ですから、20代に生命保険が必要なのか、という疑問もあると思います。
本当のところはどうなか、実際のデータなどを参考にしながら、20代に本当に必要な保険について考えてみましょう。
目次
1. データで見る20代に多いリスクとは
20代はどんなリスクが多いのでしょうか。
1-1. 20代の入院理由
20代の人が入院する原因について、厚生労働省のデータを見てみましょう
■20代・男性の入院理由 上位5疾患
順位 | 傷病の種類 | 人数(千人) |
---|---|---|
1 | 精神及び行動の障害 | 2.7 |
2 | 損傷、中毒及びその他の外因の影響 | 1.6 |
3 | 神経系の疾患 | 1.4 |
4 | 消化器系の疾患 | 0.8 |
5 | 呼吸器系の疾患 | 0.6 |
■20代・女性の入院理由 上位5疾患
順位 | 傷病の種類 | 人数(千人) |
---|---|---|
1 | 妊娠、分娩及び産じょく | 6.0 |
2 | 精神及び行動の障害 | 2.9 |
3 | 神経系の疾患 | 1.0 |
3 | 健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用 | 1.0 |
5 | 新生物<腫瘍> | 0.7 |
※傷病の種類は全部で20種ありますが、そのうちの上位5位までを、多い順に一覧にしています
(出典)平成29年患者調査(厚生労働省)
20代男性の入院理由の第1位は「精神及び行動の障害」。これは全年齢とも入院理由の1位となっていますが、とくに20代は就職などの緊張や環境変化などが影響する、ということが考えられます。2位に「損傷、中毒及びその他の外因の影響」が来ていますが、これは主に「ケガなど」のことです。他の年齢に比べるとこの順位が高いのが若い世代の男性の特徴です。病気よりもケガによる入院のリスクが高い時期と言えるでしょう。
20代の女性は、1位がダントツで「妊娠,分娩及び産じょく」による入院です。また、2位の「精神及び行動の障害」は、女性の方が男性よりも人数が多くなっています。3位(同数)の「健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用」とは、各種の検査のことです。全体的に、女性の方が入院する人数が多い点にも注目してください。つまり、女性のほうが入院リスクが高いということです。
1-2. 20代の死因
20代の男女別の死因について5位までを見てみると、不慮の事故による死因が男性では高いという特徴があります。また女性の場合は、若い世代でも「悪性新生物(がん)」による死亡比率が高いこともわかります。
■20代の死因(男女別)
順位 | 20代男性の死因 | 20代女性の死因 |
---|---|---|
1 | 自殺 | 自殺 |
2 | 不慮の事故 | 悪性新生物<腫瘍> |
3 | 悪性新生物<腫瘍> | 不慮の事故 |
4 | 心疾患 | 心疾患 |
5 | 脳血管疾患 | 脳血管疾患 |
(出典)平成29年人口動態統計(厚生労働省)
2. 20代の保険選び
20代のリスクを理解できたと思いますが、同じ20代でも、独身の人と結婚して子どものいる人とでは必要となる保障が、かなり異なります。ここではライフシーンごとに必要となる保険選びについて具体的に紹介します。
2-1.【20代・独身】の保険選び
独身の人は、将来のライフプランがまだはっきりとはわからないうちは、必要最低限の保障で、なおかつ今後も必要となる保険、すぐに解約しなくてもいい保険、という観点で保険を選びましょう。
2-1-1. 男性の場合
男性は病気よりもケガのリスクを中心に考えましょう。まずは医療保険と、死亡保険は保険料の安い掛け捨で、少額保障を中心に考えるといいでしょう。スポーツやアウトドアの趣味などがある方は傷害保険をプラスしてもいいと思います。
医療保険 少額の死亡保険
※緑背景は優先すべき保険(以下同)
2-1-2. 女性の場合
女性は医療保険をなるべく早めに確保してください。商品によっては、妊娠中は加入できない医療保険商品もありますので注意してください。
医療保険 少額の死亡保険
2-2.【20代・結婚した時】の保険選び
結婚をしたら、保険は家族の生活を守ることを目的に選ぶことがポイントです。入院や手術で働けなくなり収入減となった時や万一死亡した時に、残された配偶者の生活への影響を具体的に考え、夫婦それぞれにシミュレーションして保障を選ぶことが大切です。
2-2-1. 男性の場合
医療保険や就業不能保険(収入減に備える保険)を中心に選びましょう。死亡保険は少額でもいい時期ですが、近い将来に子どもが産まれる人は、若くて保険料が安いうちに子どもも含めた必要保障を確保しておくことも有効です。
医療保険 死亡保険 就業不能保険
2-2-2. 女性の場合
医療保険の加入がまだの人は最優先で備えてください。なお、妊娠中に保険加入するには制限がある場合もあります。死亡保険やがん保険などについても、家族が増えたことを想定して早めに確保しておくことも有効です。
医療保険 死亡保険 がん保険
2-3.【20代・子どもがいる場合】の保険選び
夫婦共稼ぎなどの場合、自分がもしもの時には、自分の医療費や収入減だけではなく、配偶者の仕事や収入にも影響することを考える必要があります。また、もしもの時に子どもの面倒を見てくれる人(両親など)が近所にいるかなど、環境によっても必要保障額が変わってきます。
具体的に、必要保障額を計算して保険を選ぶことが無駄を避けることに繋がります。
2-3-1. 男性の場合
子どもが小さい時ほど必要保障額は高額となります。高額な死亡保障の確保には、保険料が抑えられる「収入保障保険」を組み合わせることが有効です。また、重い病気やけがで働けなくなるリスクは死亡リスクよりも高い事を考慮し、就業不能保険(収入減に備える保険)も確保しましょう。子どもの将来のための学資保険も準備が必要です。
医療保険 就業不能保険 高額の死亡保険 学資保険
2-3-2. 女性の場合
子どもが生まれたら、自分がもしも入院や手術が必要になり子育てができなくなった場合にどうするかを具体的に想定して保険を選びます。たとえばベビーシッターを頼む必要があるなど、実際にかかる費用は各家庭によって異なります。保険は、医療保険と死亡保険と共に、共働きの人は就業不能保険も検討しましょう。また、がんの保障も早めに確保しましょう。
医療保険 死亡保険 就業不能保険 がん保険
必要保障額の目安や計算方法については以下の記事を参考にしてください。
・5分でわかる!死亡保障の必要額と加入すべき生命保険
・すぐわかる!必要保障額の目安と簡単な計算方法
3. まとめ:20代の生命保険選び
20代は他の世代に比べて必ずしもリスクは高くありませんので、まずは必要最低限の保障から用意していき、結婚や子どもの誕生を機に、追加での加入を行っていくのが効率のいい方法です。そのため、最初に少額保障を確保する時には将来的にも無駄にならない保険を選びましょう。
とくに若いうちは保険料が安く済みますので終身タイプの医療保険は早めに加入しておくことで、将来に渡って保険料が低いまま継続できるメリットを得られます。その他、20代の保険選びのポイントをまとめましたので参考にしてください。
- 若くて保険料が安い時期に、将来的にも必要となる医療保険を確保しましょう。
- 独身の人と、結婚して子どものいる人とでは必要な保障が全く異なります。ライフシーンごとに異なる保障を理解し、優先順位をつけて必要なものから確保しましょう。
- 女性は、妊娠や出産によるリスクがありますので、早めに医療保障の確保をしましょう。また、男性に比べて「がん」のリスクが若いうちでも高いことを知っておきましょう。結婚して子どもがいる人は、死亡保険や医療保険に加えて、長期間働けなくなった時の収入減のリスクにも備える就業不能保険も確保しましょう。
保険・金融専門の執筆家で庶民感覚のわかりやすい文体に定評がある。保険WEBサイト、経済紙記事、書籍「就業不能リスクとGLTD(共著)」ほか執筆実績多数。保険業界メールマガジンinswatch発行人。
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